峯岸利恵の音楽手帖

好きな音楽や日常にまつわるあれやこれやそれです

20190330 NOA LAST LIVE@高槻RASPBERRY

 

 THE NINTH APOLLO所属の3ピースバンド・NOA

 201412月に活動休止を発表した彼らが、2019330日を以て解散した。その間、約4年半――数字にするととても長く感じるが、ブランクこそあれどNOAのライブを思い出すことは直ぐにできた。彼らは、業火の如く火花を散らす線香花火のようなバンドだった。触れると崩れてしまいそうなナイーブさと孤独感、それでいて美しく強靭なエネルギーを猛々しく放っていて、最初に彼らのライブを観た時は「なんてバンドなんだ」と驚愕した。それ以来何度もライブを観ては、何度も感動し、何度も胸の内を突き動かされた。私の心はその時の衝動を今もずっと覚えていた。そしてこの日、最後に放たれるその爆発的な衝撃を求めて、NOAが生まれた高槻RASPBERRYという場所に来た。正直、どんな想いでフロアに立てば良いのか分からないまま開演時間になっていた。

 

 この日の対バンは誰なのか?そして何組出るのか?という情報は当日になっても告知されなかった。それ故に、My Hair is BadDay tripperSPARK!!SOUND!!SHOW!!39degreesの全4組がNOAのラストに鳴らし届けにきたと分かったのは、NOAがステージに立った時だった。互いを「兄弟のようだ」と語らう仲であるMy Hair is Badのライブは、哀しみや寂しさや自身の不甲斐なさ、そして感謝と愛を激白するような感情的なものだった。涙ながらにNOAへの想いを語る椎木君の言葉に、同じく涙した観客のすすり泣く声が聴こえてきた。その空間をぶった斬るような超絶爆音爆速サウンドで「いつも通り」を貫いたDay tripper、「俺らは止まってなかった分、しっかり前に進んでいる」と自信と誇りを持って友人を見送ったSPARK!!SOUND!!SHOW!!。そして「いやぁ、久々のNOAとの対バンですよ。イベントってことは音源とか出したの?……え、解散すんの!?」というジョークでいつも通り会場を沸かせながらも、NOAと対バンしていた頃を彷彿とさせるセットリストと最高のアクトで愛を表現した39degrees4バンドそれぞれの在り方と伝え方があって、それでも「NOAは自分達にとって大事なバンドなんだ」という想いはひとつだった。NOAを知る上で、これ以上ない対バンだと思った。

 

 そして、ラストにステージに上がったNOA。しんと静まる会場にそっと鳴らされたギターのアルペジオ。そして「親愛なる高槻RASPBERRYへ。親愛なる、あなたへ………大阪NOA、始めます」というアキさんのその声その言葉でフロアに張っていた緊張感の糸がプツンと切れたその瞬間、「Sleeping pillow」のイントロに乗せて全員が歌った。この場に持ち合わせたそれぞれの想いや哀しみを置き去りにして、フロアに居る人全員が完全に反射で身体が動いていた。これが最後だとか関係なく「NOAのライブを観る」というこの瞬間をどれだけ待ち望んでいたのかが分かる、そんな純粋無垢な光景だった。「from me to you」「lost STAR」と続く中、どの曲が鳴らされ歌われようとその高揚感や興奮はてっぺん知らずに高まっていく一方だったし、アキさんに「俺らもあんたらも歳取ったな。おじさんとおばさんやな」と言われようとも、この場に持ち合わせた心は間違いなくあの頃のままだった。「なゆた」を歌う頃には、アキさんは絶唱の末声が枯れ始めていた。その声を聴く度に、この時間に全てを置いていくというバンドの覚悟が伝わってきた。それは言葉にせずともオーディエンスにもしっかりと伝わっていて、本気と本気のぶつかり合いが放つエネルギーは強く激しく、泣きそうになるほど美しいものだった。My Hair is Badのライブ中、椎木君が「バンドが終わる理由は大抵、金か、関係か。そのどちらかだ」と言っていた。そういう意味では、NOA3人がバンドを組んでいたことは奇跡に近いのかもしれない。けれど、互いが違うからこそ生み出せる反発作用があること、そしてその共鳴が生み出せる未知の美しさを教えてくれたのは彼らだし、その絶妙なバランスの上で成り立つ音をこうして浴びることができるのもまた事実だ。アキさんの声が枯れようと、ポッキーさんの真摯な歌声はいつまでも真っ直ぐで、ユウさんのドラミングは爆速で力強く進んでいく。互いに気遣い寄り添うのではなく、3人が3人のまま、NOAという名の下で己の役割を果たしていた。そしてその関係性の中で垣間見える、例えば「and rem」や「from MOON」でのアキさんとポッキーさんのハーモニーは、NOAを支える三本の支柱がひとつの大きな柱になったかのような安心と温かさを与えてくれる。私は、NOAが見せるそういう表情が今も昔も大好きだ。

 

 だからこそ、ステージ上では滅多に会話をすることがなかった3人が、この日MCで笑って話している姿を見ただけで物凄く嬉しい気持ちになった(盛り上がったのはユウさんのサイコパスっぷりをイジる内容だった)。ポッキーさんとアキさんも「こんなに話せるようになると思ってなかったし、時間って凄いな」「今までで一番長いMCだったな」「ていうか俺、MCこんな感じやったっけ?」「いや、だいぶそれっぽくなったよ」と話していて、その姿を全員が声を上げて笑い見守る温かい光景は、NOAのライブを観てきた中で初めてだった。そして「まぁ(ゲストバンドの)皆も言っていたし、笑って帰ろうか。ラスト2曲」と「ORANGE BLUE」をプレイ。待ってましたと言わんばかりの勢いで最初からシンガロングが始まり、ポッキーさんの「ありがとう!ORANGE BLUE!」の号令を合図に、これ以上ないほどにフロアがめちゃくちゃになった。《Then Goodbye》の大シンガロングは、文句のつけようのないほどに万感の笑顔で満たされていた。活動休止前のライブを観た時は息が詰まるほど苦しかったし、アキさんが前髪で顔を隠しながら「……便利な前髪やな」と泣いていた姿がどうにも忘れられずにいた。だからここに来た時には、その空気を思い出しては気持ちの置き場が分からなかった。けれど、こうして心底楽しめている自分がいること、そういう場所にしてくれたNOAがいること。それが嬉しくてたまらなかった。そして「RASPBERRYを、NOAを、どうか忘れませんように!」という願いが込められた最後の一曲は、「SHE」。その爆音の中で、右も左も上も下も分からなくなるほどに身体も感情も掻き乱されたまま、約1時間に及ぶ本編が終わった。そしてオーディエンスからの熱烈な呼び声に応じてくれた3人は、「タイムテーブルに、【2145分「NOA和解」】って書かれてたで」と笑いながらステージ上で乾杯。そして「高槻RASPBERRY出身、心斎橋新神楽育ち、THE NINTH APOLLO所属、大阪NOAでした。ありがとう」と話し、アンコール、さらにダブルアンコールをしてくれた。

 

 アキさんは「NOAが終わるのは、高槻RASPBERRYが閉店してしまって帰る場所がなくなるから」と話していたが、例え帰る場所は無くとも帰りを望む人は居る。この場所に集った人は「NOAの最後を見届けられて良かった」というよりは、「NOAのライブを観れて良かった」と思った人の方が多いんじゃないかと思う。NOAが好きな時に好きに帰ってこられるように、彼らの音楽を忘れないでいたい。そう思っている人たちがいるということは、NOAだからこそ築くことのできた居場所のひとつだと思う。性懲りもなくそう思わせてくれたこの日のライブを、私は絶対に忘れないようにしたい。

 

NOA、今までありがとう。そして、おやすみなさい。

これからも大好きです。

 

 

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20190325 Northern19 @渋谷CLUB QUATTRO

 2019年3月25日。Northern19のベーシストである井村知治さんにとって最後のステージとなる、渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブを観た。脱退が公表されてから約1ヶ月半。東名阪の三カ所に渡って行われたラストツアーの最終公演が今回の公演であり、正真正銘のラストライブだった。そのことは十分に分かっていた。分かっていたけれど、ライブハウスに足を運ぶ最中、悲しみや寂しさよりもワクワク感の方が完全に勝っていた。会場に一歩足を踏み入れてフロアに立った時に感じた空気からは、私と同じような想いでこの場に立っている人が多いんじゃないかと思えた。

 

 そんな様々な想いが交錯している会場に、健太郎さん、馬場さん、知治さんが登場すると、3人を歓迎するように前に前にと人が詰め寄っていった。そして知治さんがボーカルを務める“TRUTH”から始まったライブは、少なからず存在していた緊張感を一瞬で吹っ飛ばした。そこから一気にギアを上げて“RED FLOWER”“ANSWER”と続き、短い挨拶を挟みつつも“THE DEPARTURE”“HARTBREAKER”、さらに“TRYOUT”とアルバム収録順にプレイし場を沸かせ、“BELIEVE SONG”や“MORATORIUM”などを一気にプレイ。一音たりとも聞き逃せないグッドメロディの大洪水状態で、バンドもオーディエンスもアドレナリンがフルスロットルで出ずっぱりなのが立ち込める熱気で分かった。健太郎さんが「俺たちの曲って短いからあっという間に過ぎて行っちゃうんだけどさ、曲の長さもそうだけど、何よりいい曲だからだと思うんだよね?みんなあんまり褒めてくれないけどさ」と冗談っぽく話していたけれど、「いや、マジでそうっすよ!!」という賛同を込めて手が痛くなるほど拍手をした。

 

 【メロディック】と掲げる以上そこに妥協は許されないし、日本人を前に英語詞で想いを歌うからには「理解の前にある衝動」を音で掻き立てることが大事になってくる。Northern19はその点にストイックだし、16年間に渡りリリースを重ねる中でも「前の方が良かった」と全く思わせないのが凄い(“STAY YOUTH FOREVER”という絶対的なアンセムがある中で、彼らが“MESSAGE”をリリースした時には「ステイユースレベルの曲がまだ生まれるのか!」と猛烈に感動したし、「ノーザンが居る限り日本のメロディックパンクは大丈夫だ」と誇らしく思ったものだ)。ライブ中、チューニングに入る度に「早くやれー!」「休んでんじゃねえぞー!」と語気強く放たれるオーディエンスの声は、そういった極上のサウンドを欲する気持ちは勿論、この日ばかりは「この3人のアンサンブルを間髪なく浴び続けたい」という気持ちが溢れ出たものだろう。その想いが伝わっていたからこそ、メンバーもその声を無下にすることはなったし、「あの曲やって!」という声を最大限汲もうとして「じゃあ何聴きたいの?」と投げかけた。案の定聞き取れないほどのリクエストが募ると、急遽ステージ上で会議が開始。すると馬場さんが「俺あれやりたい!“MY PUNISHMENT”!」と言い(馬場さん最高だぜ!)と思いつつ、やはり最終判断は知治さんへと委ねられた。知治さんの「俺は“SLEEP”がいい」との発言に健太郎さんが「いや、全部俺がボーカルの曲じゃん!」と突っ込みつつも、セットリストには入っていない“SLEEP”をプレイ。そういったサプライズ含めても、この限りある時間を心の底から楽しんでいる3人の姿がいつもに増して眩しかった。(後半にはオーディエンスの熱烈リクエストに応えて”BLOWIN'”をプレイしてくれた)

 

 そして「ここからがいい流れなんだよなぁ」と期待を匂わせたタームでは、「これは井村くんに捧げます」と“FAREWELL/START”を最初にプレイした。《We shared all days of youth》《Goodbye,my friend / Future we live is so bright》――この歌詞が最も響くのは、まさに今日だなと思った。16年間という決して短くない年月を共に過ごしてきた3人にとって、この日は大きな別れの瞬間であると同時に、未知の始まりの瞬間でもある。この日を迎えるまで、寂しさ、哀しさ、不安、怖さ、それらが入り混じった葛藤があっただろうし、恐らくこれからもあるだろう。けれど、その上で彼らがこの選んだスタイルは「いつも通り楽しもう」という意志だった。お涙頂戴的な長いMCや内緒で用意したサプライズは要らないし、きっと自分たちには合っていない。ただ単純に、好きな人たちと、好きな人たちの前で、好きな音楽を、好きなようにライブする。それが知治さんへの最高の餞別であり、彼にとって、そしてNorthern19にとって、最高の門出になる。それはわざわざ言葉にせずとも伝わってきたし、それでこそノーザンだなぁと嬉しくなった。”NEVER ENDING STORY”を経ての”MASSAGE”を演奏する前に健太郎さんが放った「絶対に死ぬなよ!またライブハウスで会おうな!」という言葉には、これからもNorthern19は続いていくことへの強く深い意志を感じざるを得なかった。そしてその気持ちを確かに受け取ったということをオーディエンスが身体と声で表すように、フロアは一面のハンズアップと大シンガロングで包まれた。ライブに正解不正解は無いけれど、この光景こそが最も正直で誠実なリアクションだと思えた。これ以上ないと思えたそんな景色だったが、ラストにプレイされた”STAY YOUTH FOREVER”はその絶景をさらに上回る一体感だった。「一体感」という言葉すら安っぽく聴こえるくらい、全員が、全力で、全身で受け止め、声を枯らすほど歌い、思い切り拳を突き上げ、この瞬間をそれぞれの胸に刻んでいた。

 

 そんな本編を終えても、私が見る限り誰ひとり帰ろうとはしていなかった。そして鳴り止まないアンコールに応えて再度ステージに現れた3人は、”BLUE SKIES, BROKEN BIKE... SAME FAVORITE SONGS""WE'LL BE ALRIGHT”を明るく鳴らし、「初めて3人でスタジオに入って30分で出来た曲!」と、彼らの始まりの曲”SUMMER”をぶちかました。そして最後に「知治の鼓膜に残すように!」と、本当のラストに選んだのは”STAY YOUTH FOREVER"。この曲しかないよなとは思っていた。それでも、明日声が出なくなってもいいと思いながら叫ぶように歌った。きっとあの場にいた全員がそうだった。そうでなければ、あんなシンガロングは生まれない。そしてその声の中で、知治さんが笑顔で言った「俺、一生忘れないよ」との言葉に込み上げるものが塞き止められずに泣いてしまった。「最後なんだ」という悲しみで泣いたのではなく、その言葉に嘘偽りがなかったこと、そして何百人が放ったフルエネルギーに食らって心が否応なしに反応したからだった。そんなライブを体感できたこと、そんな音楽を作るNorthern19に出会えたこと、その全てを誇りに思えた瞬間だった。

 

知治さん、本当にありがとうございました。

そしてNorthern19、続ける事を選んでくれてありがとう。

ノーザンの音楽が生き続ける限り、私の青春は続く。

 

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しがないOLの話

「男の恋愛はフォルダ分け、女の恋愛は上書き保存」という言葉を思い出しながら、職場の型の古いデスクトップパソコンの画面の真ん中をグルグルと回る丸いアイツを見ていた。

でもこれ回ってるように見えて本当は小さい点が連続で点滅してるんだよな、繋がっているように見えて繋がっていなんだなぁ、なんてことを考えられるくらいに時間のかかる上書き保存は、いっそ別のフォルダを作れば良かったかな、そうしたらこんなにじれったい思いをしなくて済んだかな。そんな後悔をするには充分な時間を与えてくれた。


散々待った挙句「共有違反のため保存できませんでした」なんて言われて、結局上書きすることすらできないままそちらの都合で作ったフォルダを「ごめん、僕が君にできることはこれしかないんだ。悪く思わないでほしい」と言わんばかりに押し付けるなんて全く酷い話だ。こっちの気も知らずに、そんな雑な扱い方しなくたっていいじゃないか。はいはい分かりましたよもうあんたなんて知らないさよならバイバイじゃあねと右上にあるバツ印を連打する。今更「本当にいいんですか?」なんて言われたって、現状維持も回復をする知識もない私には「はい」の上でエンターキーを押すしか術がないこと知ってるくせに。

恩着せがましく作られた空のフォルダだけが残って、結局それを左上に用意されたゴミ箱に捨てた。いざ捨てても完全に消えて無くなるまでには時間が掛かるのを知っているし、まだ残っていることで安心してしまう自分が居るのも嫌になる。


また一からやり直し。

ああ、早くアップデートしなければ。

BIGMAMAと嘘と

2017年2月10日に恵比寿LIQUIDROOMにて行われたBIGMAMAの原点回帰的ライブ「THE  BIGINNING 2007.02.10」のラストに金井さんの口から「ささやかなお知らせ」として発表された、2017年10月15日、キャリア初の日本武道館公演。

 

正直言うと、発表内容にはさほど驚きはしなかった(事前に何かしらの発表を匂わせていたこともあり)。アニバーサリーイヤーだし、きっと武道館公演かメジャーデビューだろうなぁとは予想していたので「やっぱりか!」の方が大きかった。そして個人的にはその内容以上に、その発表の《仕方》に「アアア!」となっていた。

いや「ささやか」って…絶対早く言いたかったでしょうに…ライブ中も気が気じゃなかったんだろうなぁ…照れもあるのだろうけれど、歓喜の想いを押し殺して変にカッコつけちゃって…きっと一人になったらニヤッとしてるんだろうなぁ…素直に「聞いて!武道館だよ!やっとだよ!嬉しい!絶対来て!」と万歳すればいいのに…本当に、そういうところだよ…そうしちゃう気持ち、死ぬほど分かる……。

 

ここで少しばかり話が脱線します。

私がBIGMAMAを知ったのは約9年前、『Weekly Faily Tale』がリリースされる数ヶ月前で当時20歳、あまりに好きすぎて全ての悪事を許していた当時の彼氏が貸してくれた『Love and Leave』がきっかけだった。(後に「付き合うのは正直誰でも良かった」という理由で3ヶ月くらいで振られる) 当時は「拗らせている」や「メンヘラ」なんて言葉は浸透していなかったけれど、この時は完全にそれだった。というより、「聞き分けの良い自分」を演じるのに精一杯だった。「本当の自分が分からない」なんてよくある台詞だけれど、まさにそのドツボにはまっていたし、あの頃は「相手の為に私が我慢すればいいんだ」と自己犠牲を振りかざし、本音をひた隠しては自分にも相手にも嘘ばかりついていたんだなぁと今になれば思う。

 

 そしてその時期からよく聴いていたのが、BIGMAMAの「We have no doubt」だった。英詞も和訳もすぐに浮かぶし、ライナーノーツは穴が開くほど読んだ。《僕は嘘つきだから君の嘘は大体分かる》ではないけれど、だからこそ冒頭で触れた「ささやかなお知らせ」から読み取った心境を自分に容易く重ねてしまえたのかもしれない。

 

長く書いたけれど、とどのつまり、わたしの音楽人生の原点及び人格形成の片棒はBIGMAMAであり、金井政人が描くお伽話のような絵空事であり、「We have no doubt」であるということ。 人を悲しませる方にも人を喜ばせる方にも、どちらの「嘘」に対しても常に誠実なバンドだったからこそ、わたしはBIGMAMAの音楽に対していつも誠実でいることができた。売れる売れない、踊れる踊れない、流行る流行らない、器用不器用それら一切関係なく、その「嘘にも正直」という絶対的な信頼があったからこそ何年も変わらずに惹かれ続けているのだと思う。

 

待ちに待った武道館公演の中で、金井さんは「聴いてくれる人を全員幸せにすることはできないけれど、不幸を遠ざけることはできるかもしれない」と話していた。(約30分に渡るバンド解散前の独白にも似たMCの中から極々一部を抜粋) それは謙虚な訳でも逃げでもなく、BIGMAMAがこの10年で見出した「最も正確で、正直で、正しい、誰にも嘘をつかなくて済む距離」なのだろうなと思う。 そしてそれをMCやインタビューで話す「金井政人の言葉」ではなく「CRYSTAL CLEAR」という曲で「BIGMAMAの音楽」として新たに残してくれたことがたまらなく嬉しかった。

 

幸せにできる人間は一人しかいなくて、その一人を大切にするためには今から誠実でないといけない。もしかしたらその「今」でさえ、既に手遅れかもしれない。《それでも僕ら、約束をしようよ》--その約束を、節目になるあの場所ですることができて良かった。メンバーを着席させても言いたいことスマートにまとめることもできず、曲の入りもグダりながらも、そういうダメなところをひっくるめて、ああ、聴けて良かったなと思う。

 

念願の日本武道館公演にて、新たに「ささやかなお知らせ」として語られたメジャーデビュー。下北沢から青山に行こうとも古参ファンだと言われようとも、いつまでも親離れはしないつもりです。来年からのツアーが今から楽しみ。

 

 

2017.01.28 39degrees 「Reunite at that place TOUR 2016-2017 FINAL」@TSUTAYA O-WEST ライブレポート

 

 

私はO-WESTで観るメロディックバンドのライブが好きだ。

 

バンドの目標であり、どでかい通過点――このライブハウスにそんなイメージを持っているからか、ここで行われる節目のライブは自分にとって想い出深いものが多い。

そしてこの日もしっかりと胸に刻まれた、大好きなメロディックパンクバンド兼、自慢の高校の後輩の最高の晴れ舞台。

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「出会った頃はカッコいいと思えなくてさ、拳上げろって言われても上げようと思えるライブを観たことがなかった。でも段々「上げろ」って言われなくても自分の拳が自然と上がっていくのを感じて、ああ俺、39degreesをカッコいいと思っているなと確認できたんだよ」

 

「俺は、アイツらが島国根性丸出しで泥臭く拳上げろー!とか言ってるのが大好きで。そんなやつらが、本物の、嘘じゃないパッションでシーンに対してガツガツやってくれているのが本当に嬉しい」

 

--「失敗は成功の基」とはいえ、恥ずかしい思いはできるだけしないで手っ取り早くカッコ良くなりたいし、焦燥感や劣等感は抱きたくないと思うのはきっと正直なところだ。

けれど、憧れの先輩であるCOUNTRY YARDとNorthern19が贈ったそんな言葉に、曲げない信念を持てば見続けてくれる人は絶対に現れること、39degreesは必要な過程を一切端折らずにここまで来たんだということをひしと感じた。むしろショートカット無しの泥塗れの道でなければ、この夜には辿り着けなかったのだと思う。

そんな大先輩が渾身のライブで繋いでくれた、片手で受け取るなんて到底出来ない極太なバトンを受け取ってステージに現れた、ばんちゃん(Vo/Gt)、くりちゃん(Ba/Vo)、そしてばくくん(Dr)。

「やってきたことを、バカ正直にやりに来ました。THE NINTH APOLLO、東京都町田市、39degreesです。昔の話をしに来たつもりでも、未来の話をしに来たつもりでもありません。今を歌いに来ました」といつも通り堂々とした挨拶したくりちゃんと、ファイナルの舞台といういつもとは違う雰囲気に思わず深呼吸をしてしまいフロアを和ませるばんちゃん。その様子を見たくりちゃんが「おい、笑われてんぞ」と早口で突っ込むと、間髪なく“Reunion”のイントロを伸びやかに歌い出す。

「ただいま!全国のライブハウスを巡ってこの場所に帰ってきました!おいお前ら!心のスイッチ入れていこうぜ!」という叫ぶばんちゃんの姿に、彼が最初に感じた一抹の緊張感なんて一音鳴らした途端に吹き飛んでしまったんだなと安心したし、ペース配分なんて言葉は彼の中にはないのだろうなと思わせる程の勢いで叩かれるばくくんの強烈なドラミングには、激しく胸を打たれつつも安心させられた。

そんな39degreesの関係性を羨ましいなと思いながら、締めるところは締める人、抜くところは抜く人、言葉は発さずともどしっと支えてくれる人がいるというその絶妙なバランスが大舞台でもきちんと醸し出されていることにもまた安心した。

 

そんな3人が搔き鳴らした“At Peep Of The Day”で早々に崩壊したフロアは、オーディエンスの興奮が故の奇声と共に始まった“azalea”によって修復完全不可状態になった。ダイブモッシュの嵐で滅茶苦茶になっているにも関わらず、心の底から楽しそうな顔をしているオーディエンスしかいないその雰囲気を感じて、これがメロディックパンクの真髄だなとたまらなく嬉しくなった。好きな曲のイントロが鳴った瞬間に身体より先に本能が反応して無我夢中になる。その衝動で跳ねる心と身体がぶつかり合う光景を、怖いだとか危ないだなんて言えるわけがない。

 

そして扶養も外れてなければ免許もないというばんちゃんの独壇場(という名のMC)では、「ツアー中の最高に泣ける話」という名目の元、機材車が大破した挙句、泊まったホテルで風呂上がりのびしょ濡れの状態で部屋から締め出されるという話で相変わらず笑わせてくれた。話の運び方の上手さに抱腹したMCを「めちゃめちゃベタな話になってしまいますが、バンドを志した頃の自分に見せてあげたい光景ですし、感じてほしい一日になってる。感動している俺たちを見て感動してほしい」とまとめ、「熱い気持ちを呼び起こさせるのがメロディックパンクだと信じています、みんながもう少しだけでも拳を上げてくれたら完成する気がするんだ!」と‘‘Heartrending”へと全身全霊で突入した。

 

とはいえ、彼らは気付いているのだろうか。

「拳を上げろ!」と言われる前に、フロアの拳は上がっていることに。

「歌え!」と言われる前に、フロアのシンガロングは始まっていることに。

 

この絶景を作り上げたのは紛れもなく3人の軌跡であり、3人が鳴らす音、3人が紡ぐ言葉、3人が燃やし続ける数多の想いが聴く人の気持ちを動かした結果に他ならない。‘‘It’s my fault for believing you”‘‘Clues is your beside”の連続技にはいつだって胸が高鳴るし、‘‘Ery”や‘‘Freesia”が醸す切なさや哀愁にはいつだってときめかされる。

二階席から広く見渡せたその光景が、彼らがバンドとしてのひとつの到達点にこの日辿り着いたのだと確信させてくれた。

 

そんな最良の日を共に作り上げてくれた先輩への感謝を「この2バンドがいなかったらここまで来れなかったと本気で思います。一日で返せる恩ではないので、長く続けてゆっくり返していきたいと思います」と言葉にし、“Where there’s hope, there’s life”で本編を堂々と締め括った。

 

そしてバンド史上最多の61本のライブを経て完結したリリースツアーを振り返り、「これが終わりではなく始まりだから」と新たな一歩を踏み出す強い意志をアンコールの‘‘The Answer”と‘‘Not In My Lifetime”に託した39degreesを、鳴り止まない大喝采が見送った。

 

 

■セットリスト

01. Reunion

02. Clarification

03. At Peep Of The Day

04. The Birth.(Six Day Trip)

05. azalea

06. I’ll be right here

07. Heartrending

08. It’s my fault for believing you

09. Clues is your beside

10. Against Elegies

11. S.C.S

12. Ery

13. Freesia

14. Where there’s hope, there’s life

 

En

01. The Answer

02. Not In My Lifetime

 

2015.12.14 My Hair is Bad 「師走の虎」ライブレポート

 

My Hair is Bad のフルアルバム『woman's』、遂に明日リリースですわよ奥さん。

今日は店着日?ですって!

聞きました?いや、聴きました?

 

今作についてはまた別の機会に語るとして、

『woman's』初回限定盤に特典として付属されている、渋谷CLUB QUATTROで行われたワンマンライブ「師走の虎」のDVD。

これ、ヤバくないですか?(語彙力)

付属なんて言葉で扱うには頭が地面にのめり込む程申し訳なくなってくるクオリティな訳ですが、実はわたしも当時レポートを書かせて頂きました。

敏腕マネージャー・うーさんのご厚意でオフィシャルHPに載せて頂いていたのですが、諸事情で今は見られなくなっているので、これを機に当ブログにて公開させて頂きます。

 

スーパーハイクオリティなライブと迫力も臨場感も二千億点な映像と合わせるも良し。

このライブをいち人間が観るとこう感じるのか~と客観視するも良し。

いっそ読まないも良し(笑)

 お好きにご堪能ください!

そして藤川さん!もしこれを見ていたら写真掲出許可ください!(笑)

 

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2015年12月14日、月曜日。

新潟で生きる若者が、数百キロ離れた東京・渋谷のライヴハウスを満員の人で埋めた。

 

彼らには驚くほどの演奏スキルがあるわけじゃないし、強力な人脈があるわけでもない。彼らをここに導いたのは、3人の〈人間力〉ただそれだけだ。曝け過ぎともいえる私情の吐露と、やり過ぎともいえる驚異的なライヴ数。でもそれらは全て彼らにとって最適量だったのだと思い知らされた、渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライヴ〈師走の虎〉。

「マイヘア良かったなんて言わせるつもりはありません、最高だったって言わせます」―――その言葉通り文句なしに最高だった本ライヴを、一人のファンとして彼らを追ってきた筆者が、その目で見て感じたまま綴ろうと思う。

 

開演時間の19:00に椎木知仁(G/Vo)、山本大樹(バヤリース)(Ba)、山田淳(やまじゅん)(Dr)の3人がステージに現れると、3人の姿を捉えた観客は拍手で彼らを迎える。そしてドラム前に集合して互いの拳を突き合わせ、「セイッ!」と声を出すと、真っ直ぐ正面を向いた椎木が「新潟県上越市から来ました、My Hair is Bad始めます」と挨拶する。その瞬間、期待が充満した会場は真っ赤な照明に染まり、噛みしめるように歌い始めた“真赤”で幕を開けた。最初は緊張が見えた3人の様子も、“18歳よ”“教室とさよなら”、“マイハッピーウェディング”と飛ばしていくなかで、普段通りの彼らに変わっていった。新調したドラムセットを楽しそうに叩くやまじゅんの気合に満ちたプレイや、動きのあるバヤリースのプレイにも一段と熱が入っていた。

 

彼らの曲には、観客好みのビートを刻んで楽しませようなんて予定調和は一切ない。今、この瞬間の彼らのテンションをありのまま刻んでいく。多少テンポが前のめりになったっていい、彼らのステージではそれが持ち味に変わる。それは「僕らのライヴで後悔させると思いますか?させません」という決意表明と共に歌われた“赤信号で止まること”の曲中、何度も問われた「誰の為に?」という言葉が物語っていた。彼らは自分の為に歌って、鳴らして、立っている。だから嘘をつく必要も、着飾る必要もない。そんなスタイルは、「夢が叶った気分です」と語る渋谷クアトロのステージでも決して変わらなかった。

 

だからこそ、「始まりの音が聴こえるというのは、自分で鳴らしたから聴こえるんだ」と歌い出した、彼らにとっての始まりの歌である“月に群雲”がいつも以上に強く心に入り込んできた。そこから吹っ切ったように“クリサンセマム”“ディアウェンディ”とハイスピードで飛ばしていく3人の姿は、観ているこちらが怯んでしまうほどの気迫に満ちていた。シンバルが割れるのではないかとひやひやするほど激しく叩き散らすやまじゅんの豪快さや身体を捻らせながら全身で音を鳴らすバヤリースのプレイにも拍車がかかり、椎木にいたっては“友達になりたい”でギターを抱えたまま客席にダイブ!さらにそのまま肉声で、「ついにきたぞ、クアトロ!俺らはドカンと売れたわけでも力を使ったわけでもない、じゃあ何をしていたかって言ったら、ライヴをしてました!こんなにライヴする必要もねえし、金もねえけど、信じてて良かった!」と叫んだ。

 

そんな数々の迫真のプレイに耐えかねたのは、ギターの弦だった。「虎が獲物を捕る時どうすんだ、休憩しねぇだろ?」と言いながら、弦が切れたギターのままチューニングだけ合わせてライヴを続行し、“フロムナウオン”へ入る。

 

「ギリギリを、スレスレを、一か八かを、紙一重を。そういう奇跡を、瞬間を信じたいんだ」「俺はここまでやってきたこと、全部○だとは思わない。×もやってきたし、赤信号も渡ってきた。その結果が、あんたが今観てるこのステージだ」「○だけ取っても×だけ取ってもだめだ。なに怯んでんだよ」「選んでみろよ、僕らにある選択肢は、やるかやらないか」

 

そんな書ききれないほどの言葉の濁流に飲まれて、上手く息ができなかった。一瞬でも気を緩ませたら、ぷつんと切れたあのギターの弦のように負けてしまう気がした。だからこそ、歯を食いしばって一音も聞き逃さないように踏ん張った。それくらい演者も観客も互いに真剣だった。

 

そして曲が終わると、椎木は赤いレスポールに持ち替えた。「このギター、渋谷で買ったんですよ。なんか不思議じゃない?」と話し、「このギターで作った曲をやります」と“最近のこと”を披露。

イントロが鳴ると同時に、〈私のこと、忘れないでよ〉というギターの声が聞こえてきた気がした。

そんな思い出のギターの音色に乗せて「どんどん時間が戻っていく、君を思い出してる」と零しながら、“悪い癖”“ドラマみたいだ”“彼氏として”と、新しい曲から昔の曲へと遡っていく。時制の変化ひとつ逃せない、「好き」なのか「好きだった」なのか。映画でもドラマでもない、今この瞬間に変化しているドキュメント。あの頃の曲の「君」は今の曲の「君」ではないかもしれないけれど、その時々に想うひとりの女性のことだけを描いた歌詞が、忘れていた思い出や匂いまで思い出させてくれるようだった。

 

そして、「日記みたいで絶対売れない」と話した新曲と「30歳になっても、40歳になっても歌えるように」という願いを込めた“優しさの行方”、さらにラストに「最後までドキドキして帰って!」と渾身の“アフターアワー”を届けた。〈僕ら最高速でいつだって走れるわけじゃないんだって いつかは止まってしまう日が来る〉なんて歌いながら、「まだまだ上に行ってやる!」と宣言した椎木の言葉に迷いはなかった。

 

そして鳴り止まないアンコールに呼ばれ再度ステージに戻った3人は、月曜日というド平日に集まってくれた観客に感謝を告げ、「いつまでも続きますように、という気持ちを込めて新曲を歌って終わります」と、まだ名もない新曲を披露した。マイヘアらしい、僕と君だけが出てくる恋の歌。最後にそんな曲を選んできた彼ららしさに思わず頬が緩んだ…と思いきや、「人に嫌われたくないなら、人のこと嫌うなよ!」との決まり文句からアッパーチューンの“エゴイスト”を投下!まさに完全燃焼、夢のステージの幕を堂々と閉じた。

 

…だが、そんな彼らに贈られた盛大な拍手は、2度目のアンコールを望む拍手に変わった。とはいえもう出てこないかもなぁ、なんて思っていた矢先にヒーローの如くステージに現れた3人の姿に、観客は大歓声を上げると共に一気に前へ詰めかけた。そして本当のラストとなった“夏が過ぎてく”は、会場全員での「ワンツー!」の掛け声と共に異様なまでの盛り上がりを見せたのだった。

 

My Hair is Badに抱く感情は、「もっと売れてほしい」とか「もっと大きいステージに行ってほしい」という想いよりも、「ずっと彼ららしくいてほしい」という想いの方が強い。今の音楽シーンがどうかなんて関係ない、マイヘアはマイヘアのまま大きくなってほしい。そして私は、この日のライヴを観ることができて、さらにこうして綴れたことを堂々と誇るだろう。いつも通りの彼らをいつも通り追い続けようと思えた、私自身にとっての決意の日になった。

 

媚びずに、奢らずに、正直に。

My Hair is Badよ、一生ドキュメンタリーであれ。

 

 

■セットリスト

  1. 真赤
    02. 18歳よ
    03. 教室とさよなら
    04. マイハッピーウェディング
    05. 赤信号で止まること
    06. 愛ゆえに
    07. まだ、ほどけて 
    08. 新曲(タイトル未定)
    09. 白熱灯、焼ける朝
    10. 月に群雲
    11. クリサンセマム 
    12. ディアウェンディ
    13. 元彼氏として
    14. 友達になりたい
    15. フロムナウオン
    16. 最近のこと
    17. 悪い癖
    18. ドラマみたいだ
    19. 彼氏として
    20. 新曲(タイトル未定)
    21. 優しさの行方
    22. アフターアワー
    <アンコール>
    23. 新曲(タイトル未定)
    24. エゴイスト
    <ダブルアンコール>
    25. 夏が過ぎてく

音楽ライターについて

 

 

 

数ヶ月前からツイッターのDMを開放しております。

 

音楽をやっている方にねえねえそこのお姉さんちょっと文章書いてよという感じに気軽に依頼をしてもらいたくてこの設定にしたのですが、なんと!あなたのことがずっと気になっていましたこれ僕のLINE IDです連絡ください的なメッセージが!一切なく!頻繁に頂くのは、「音楽ライターになりたい!でもなり方が分からない!どうしよう!というかあなたって何してる人なの!?」いう旨の質問です。

 

ここからはわたしの話をします。

興味のない方、止めるなら今です。

 

わたしは普段は普通に会社で仕事をしていて、ご依頼を頂いた時に記事を書いているという「半社会人・半ライター」の二足の草鞋で生きています。昼は学生夜は怪盗という「神風怪盗ジャンヌ」を想像して頂けたら分かりやすいかと思いますし、これが分かるりぼんっ子は世代一緒です。

 

経歴としては、大卒で就職しましたが「音楽の文章を書く仕事がしたい!」と思い立って一年で辞職。ツテコネ一切無しの装備0の丸裸状態でダンジョンの入り口に立った訳ですが、当たり前のように仕事なんてなく、あっという間にただのフリーターになりました。(完)

 

元々ライブレポートは書いていて、応募制の音楽ライター講座に通ったり、細々と文章を書いたりしながらもバイトに明け暮れる―――そんな日々を送り、約1年。

なんで私がライターに?というどこかの予備校のキャッチコピー宜しく、ライターの肩書を背負えたきっかけは、某有名音楽会社のライター募集に受かったことです。(現在も募集しているはずですし、そういった募集は色々な媒体が行っています)

そこから「対価を頂いて文章を書く」という、いわゆる「プロ」としてのお仕事をするようになりました。ここが始まりです。3年前くらいだと思います。

 

とはいえわたしは完全契約ドリーマーではなくフリーランスなので、お声を頂ければいつでもどこでもなんでも書きますし、依頼をもらわずに勝手に書いているレポートやディスクレビューもたくさんあります。

恐らく最近わたしを知ってくれた方は、十中八九THE NINTH APOLLO所属バンドを好きな方だと思うのですが、恐らく知るきっかけとなった文章は、わたしがただの一ファンとして勝手気ままにるんるんきゃっきゃと書いたものです。

 

前置きが長くなりましたが、「何をすれば良いのか分からない」という方は、

とりあえず好きな音楽を、好きに書いて、発信すれば良いのではないか。

あとは、運と縁が大事、だと思います。

わお、これだけ書いたくせに至った結論があまりにもざっくり!

 

このご時世、ウェブライター一本で食べていくのは現代版お伽噺話です。才能があればもちろん別ですが。わたしも普通に働いていますし、音楽雑誌や音楽ウェブサイト運営会社の編集部に入るなどしない限りは安定的な収入を得ながら書くことは正直難しいと思います。

 

けれど先述した通り色々と募集案件はありますし、世はSNS全盛期。発信すれば本人に届く可能性だってありますし、自身の表現力で挑戦する機会はたくさんあります。とりあえず、けれども本気で書いて発信してみてはいかがでしょうか。

 

とまぁ偉そうなことなんて何一つ言えないほど未熟なわたしですが、これだけは絶対にブレちゃいけないと思っているのが「書き手のエゴと承認欲求は要らない、良いと思った音楽を拡める為に書く」ということです。

 

けれど音楽を拡めることの一番の策は、拡める自分自身が影響力を持つようになるとこでもあるので難しいところですけれど。

 

その為にももっと良い文章を書けるように日々精進して参ります。共に頑張りましょう。

 

振り返れば全編わたしの話になってしまった。 

ここまで根気良く読んでくださった方、ありがとうございますもうマブダチです。(軽)

 

これからもどうぞ宜しくお願いします〜