「THE WORLD IS MINE」では、「誰にも邪魔されない世界で、あなたが、あなたらしく生きれますように」と語りかけつつ、同じ時間の中を別々の歩み方/歩幅で生きていく人間同士の出会いや繋がりを軽やかに歌っていく。踊るように歌うしばの声を支える、荒川が生み出すビートは、人間の脈動のような心地良さと、生命力を感じる力強さを内包していて、エレクトリックだけれど、温かい。しばはこの日、声が掠れてあまり出ないと話していたが、それを優しく支えるような荒川の頼もしさも同時に感じ、「人と人が互いに支え合って生きること」をそのままこのライブで表現しているようだと思った。
神ハーモニー&スピード王こと、RIDDLEの真骨頂。アクセル踏み続けてキンコン鳴りっぱなし、そのままコーナーに突っ込んでスリリングさを出しつつ、華麗なブレーキングが魅せる優しさ溢れる緩急が心を揺さぶる――という峠攻め的セットリスト。しかも、この日は今年一発目の「Reach to the horizon」を演ってくれて、さらに「Another wish,another future」を繋げてくれたんですよ……この組み合わせが好きすぎて、ホライズン終わり即サムタイ待ちフライング拳上げムーブかましちゃう。
今回のイベントは、敬愛するGREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE(通称グリンミルク)に出演してほしい!と懇願し、OKを頂いたことがスタートでした。そこからメンバーの皆さんに相談していく中で、ふと「対バンでLAGITAGIDAはどう?Aちゃん、ダブルヘッダーだけど!」という流れに。いやいや、それが実現したら最高ですけど、流石に体力的にもキツいですよね~(チラッ)とお伺いを立てたところ、体脂肪率8%、鋼の肉体を持つ最強狂犬ドラマーAさんからさらりと「いいよ」とのご快諾。夢かと思いました。漢気が過ぎます。その後、LAGITAGIDAの皆さんも「面白いじゃん!」と賛同してくださり、夢の対バンが実現となりました。
イベントのトリは、GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE!2019年のアメリカツアー振りに演奏したという未音源化楽曲「Tragedy Overground」からスタート。ちなみにこの曲、25分あります。長いと思われるかもしれませんが、そんなことを全く感じさせないほどスーパードラマティックな楽曲です。私自身、この日初めて聴いたのですが、一番好きな曲かもしれない……。じっくりしっとりと聴かせた後に、ドドンパの如く一気に加速!その先でまた落ち着いて、最後はもうドッカンドッカンにブチ上げるという、ジェットコースターロマンス的楽曲。ここでAさんの表情を確認してみましたが、何らいつもと変わらないハイパーパワフルドラミングでバンドを牽引していました。凄すぎてなんかもう怖い……。でもそのストイックさは、バンドにも言えることで、限界の限界まで追い込んで、それでもまだ走り続けるという、極限のその先まで這いつくばりながら追い求めるバンドがGREEN MILK FROM THE PLANET ORANGEだと思っています。まさに昭和の部活、ブレーキの壊れた暴走列車。この表現、しっくりき過ぎる。そんなバンドだからこそ爆発的な熱狂を生むのだと思うし、この日もこちらが抱いていた期待の1000倍増しでトリという大役を務めてくれました。日本のプログレッシブロック界を担う、唯一無二の最高にアツいバンドです!!プログレッシブロック!!!
そして、ライブ終了直後のAさんの様子はいかに……。
超元気!!!!!!参りました!!!!
有難いことに年一でまたやりたい、という話もありましたので、乞うご期待!
LAGITAGIDA、背前逆族、GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGEの皆さん、来てくださったお客さん、本当にありがとうございました!!
今年で設立15周年を迎えたインディーレーベル、I HATE SMOKE RECORDS。「煙のように時代に流されるのではなく、確固たる意志とスタイルを持って音楽を向き合っているアーティストの作品を出す」をモットーに、これまで数多くの作品を世に放つ手伝いをしてきたレーベルだ。そして今回、15周年という記念すべきタイミングで、主宰のOSAWA17さんにインタビューを実施!2006年からスタートさせたレーベルでの、今までのこと、これからのこと。THE SENSATIONSなどでバンド活動も行っているOSAWA17さんの15年について訊いた。
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――OSAWA17(以下、OSAWA)さんがレーベル業を始めたきっかけは何ですか?
大学4年生の時に、単位も取り終わって暇だし、レーベルでもやってみるか!というテンションで始めました。当時、UNITED SKATESというバンドを組んでいたんですけど、僕らの世代より少し上の先輩で言うと、STEP UP RECORDSやSTIFFEEN RECORDS、Justrock Recordsといった、もう第一線でバリバリ活動しているバンドが多くいまして。 僕らもそういったシーンに食い込みたいけど、まだまだペーペーバンドが故に全く相手にしてもらえなかったんです。だけど周りにはカッコイイと思えるバンドも沢山いたし、じゃあ自分でレーベルを立ち上げて、まずはコンピでも作ってみるか、という考えに至りました。今でこそ店舗流通をするハードルは下がりましたけど、その頃はTOWER RECORDSやHMVに音源を取り扱って貰うっていうのがかなりハードルが高くて。でも、やるからにはそういうところにも取り扱いしてもらえるようになりたいと思っていました。
――そうですよね……。その後、レーベル第一弾となるコンピレーションアルバム『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!!』をリリースした時には、継続的にレーベル業をやってみたいという意欲はあったんですか?
『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!! 』は1000枚作ったんですけど、1か月くらいで手元にあった在庫がなくなったんですよ。そこに何か手応えを感じたというのもありますし、当時一緒によくやっていた yellow gangというバンドも「俺らもアルバムを出したいと思ってるんだよね」と言っていたタイミングもあり、「一緒にやらない?」ってことで、そのまま2作目が決まったことも続けるきっかけになりましたね。
――リリース後に変化はありました?
『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!! 』の反響が、思っていたよりも大きかったんですよね。UNITED SKATESのツアーで各地に行くと、コンピをきっかけに僕らのライブに来てくれた人もいたし、そこでレーベルの面白さを実感しました。
――ライブ現場で気付くというのは、バンドマンだからこそ得られた実感ですね。
バンドをやらずにレーベルだけやっていても、バンド側の気持ちが分からなくなっちゃいますしね。ツアー中にカッコいいバンドに出会うこともあるので、バンドもやりつつレーベルも運営していくスタイルで良かったと思います。当時は、日常的にMyspaceやPurevolumeなどで音源をアップしているバンドをチェックして、片っ端から音源を買って、気に入ったら連絡したり。ツアーでその人たちの地元に行った時に一緒にライブをやって、そうしてできた繋がりはめちゃくちゃありました。I HATE SMOKE RECORDSでは、年末に30組くらいのバンドに参加してもらうコンピレーションアルバムを作っていた時期があったんですけど、そこに参加してもらうバンドは、各地で一緒にやったり、出会ったバンドですしね。
その時代にどういうバンドがいて、どういうメッセージを発信していたかを「物」として記録する為、ですね。今年8月にSTARVINGMANの『分厚い壁に小石を投げ続けるep』のCDとレコードをリリースしたんですけど、今作以降、I HATE SMOKE RECORDSからリリースする作品は必ず、その2形態で出そうと思っているんです。
■OSAWA17( THE SENSATIONS / GIRLFRIEND / DANCE MY DUNCE)
千葉県松戸市出身、1984年生まれ。2004年にSEVENTEEN AGAiNのベースを担当し、2005年にはUNITED SKATESを結成。現在は I HATE SMOKE RECORDSを運営しながら、GIRL FRIENDのベース、THE SENSATIONSのボーカルとして活躍中。(twitter: @OSAWA17)