【インタビュー】WiRELESS CARNiVAL 2025開催直前インタビュー
2025年11月22日に、千葉県長生郡長柄町のロングウッドステーションにて、「WiRELESS CARNiVAL 2025」が開催される。静岡県富士宮市にて、キャンプをしながら音楽を楽しむフェスティバル「WiRELESS CARNiVAL2022」を初開催して以降、2023年と2025年には「WiRELESS VACATiON」の名で千葉県御宿町にて開催し、野外でのイベントは今回4回目。開催場所を変えながら、自分たちが思う楽しさを提供し続けてきた主催メンバーのはっしーさんにインタビューを敢行。その土地の人々と協力しながら、多くの人を巻き込んでワクワクさせたい!と意気込む熱い話を訊いた。

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──元々「WiRELESS」名義の野外イベントはどんなきっかけでスタートしたんですか?
ライブハウス友達と、初回開催地となる静岡県富士宮市のハートランド朝霧にキャンプをしに行った時に、ただでさえ楽しいキャンプに音楽がプラスされたらもっと楽しいんじゃないか?と思ったんですよ。そこのキャンプ場のオーナーに「ここでそういうイベントができたら面白いっすよね~」みたいな話をしたら、「いやいや、やっちゃおうよ!」と(笑)その人は通称”監督”って呼ばれてるんですけど、その人がやってみようか!って言ってくれたのがきっかけですね。
──ははは!監督、ノリがいい(笑) WiRELESS名義のイベントはいつ頃から始めたんですか?
WiRELESSというイベント自体は 2010年からスタートしているんですが、発起人は私ではないんです。うちの奥さんの"CHUN"が当時浜松にいて、その時にライブ繋がりで知り合った大阪の"NiRO"と岡山の"MURA"と、神戸のBLUEPORTで始めたイベントなんですよ。そこから時を経て、今は10人弱くらいの人間が変則的にチームを組んで色々なイベントをやっています。今回の「WiRELESS CARNiVAL 2025」も、そのメンバーたちを「今年はどうする?」みたいな話をしながら構想を練っていきましたし、毎年そんな感じで進めていますね。

──開催をしていくにつれて、こんなイベントにしていきたい!という願望は強くなっていきました?
やっぱり、やりたいことは増えていきますね。もうやめとけ!って言われることもあるんですけど、それでも「こうやったらできるんじゃないか?」とか「こういう風にしたらできそうじゃない?」と提案して、試行錯誤しながらやりたいことをやらせてもらえている感じですね。僕自身、ライブハウスによく遊びにいくんですけど、例えばライブハウスに子供が来たりするじゃないですか?でも、やっぱりいづらい場所だよなぁ、とか、ライブに付き合わせちゃってるなぁ、と感じるんです。だからこそ、家族全員で来て楽しい場所があった方が良いなと思っていますし、「WiRELESS CARNiVAL」はそこがクリアできている場所になっている実感はあります。
──キッズだった人が必然的に親世代的になっていくからこそのホスピタリティですね。野外イベントは天候的な問題も避けられないと思うのですが、これまではどうでしたか?
そうですね。天候もだし、過去にはコロナ禍も経験しましたね。そういうの含めてデカめのイベントをやるっていうのは、ぶっちゃけ大変です。もちろん資本があればなんてことはないと思うんですが、「WiRELESS CARNiVAL」については個人がDIYメインでやっているイベントなので、結構ギリギリのラインを攻めちゃってるんですよ。というかもう、アウトです(笑) あと、それこそ2022年にやった時は、コロナ禍も開けきれていない状況ではあったんですが、キャンプ場だし、ライブハウスに行きにくくなっている中ではソーシャルディスタンスも取りやすい環境だったし、一旦気にせず自由に遊びたいよね、という気持ちでやっていました。この『自由に遊びたい』という想いは、今もずっと継続しているかもしれないですね。でも、天候の話で言えば、2日間開催だった「WiRELESS CARNiVAL2022」 は、ずっと晴れてたんですよ。富士山も見えて、抜群に素晴らしいロケーションで楽しめました。だから、この記事を読んでいる人の中に当時来てくれていた人いるか分からないですけど、めちゃくちゃ最高のイベントだったという記憶が残っているはずです。1日でも雨が降ってたら、逃げ場もなくて最悪のイベントになっていたと思うので。

──2023年と2024年は、そこから場所を変えて千葉県御宿町の「月の砂漠記念会館前広場」で行われていますね。
御宿に古民家的な施設を持ってるんですけど、そこを拠点としつつ、町の観光協会や地元のマルシェと協力して開催しているイベントです。このイベントも、年々良くなっていますね。夏開催ということもあり、海が目の前で最高だし、フリーライブだし、超自由です。
──場所選びというのは、やはり重要なポイントなんでしょうか?
私はイベントの開催場所がめちゃくちゃ大事だと思っているんですよ。色んな趣旨のイベントがある中で、 特殊性というか、面白味みたいなものを感じられるのはロケーションだと思っているんです。「WiRELESS CARNiVAL2022」は富士山の麓で、牧場で牛もいて、空気も美味しくて。その環境がとにかく最高で、この御宿町でのイベントも、たまたまそこの会場でマルシェをやっているのを見て「ここでライブしたら面白いんじゃないか?」というインスピレーションで決めたんです。とはいえ、キャンプができる場所とか、外でライブできる場所って、意外とあるようで無いんですよ。様々な許可が必要ですし。
──確かに、音が出るとなると、その地域の住民生活にも関わってきますもんね。今回は、千葉県長生郡のロングウッドステーションという会場ですが、会場を重んじる中でどんなところにピンときたんですか?
私は千葉県の松戸市に住んでいるんですけど、御宿の帰り道に「ロングウッドステーション」という看板があって。「メリーゴーラウンドがあります!」「ロケ地として使われています!」みたいなことがつらつらと書いてあって、なんだここは?面白そうだな?と思ったのがきっかけですね。で、調べてみたら、どうやら湖の真ん中にあるアウトレットモールの跡地らしく、これは面白そうだな!と思ったんです。そこから下見をしに行ったら、ビビッときましたね。
──どんなポイントにビビッときました?
外が芝生で、メリーゴーラウンドがあるのも面白いんですけど、元々アウトレット施設だから、中が全部空洞なんですよ。ライブハウスがいっぱいあるみたいな状況だから、機材を入れてしまえばサーキットイベントができるような場所だし、野外にはデカめの常設ステージがひとつあるからそのまま使える。そんなの絶対おもろいやん!と。まぁ、費用的なものはやっぱり結構かかるんですけど、色んな構想ができたんですよね。2日間開催でオールナイトイベントにするも良し、室内だけでサーキット風イベントにするも良しだなと。でも、キャンプ場とは違うし、周りに多くの宿泊施設があるわけでもないので、単日開催にしようとまとまって、今回の形態開催に落ち着きました。でも、絶対面白いイベントだと思います。
──フェスとはまた違いますもんね。
実は、私自身、フェスってそんなに好きじゃないんですよ。どうしても熱量を感じない気がしてしまうんですよね。もちろん全てのフェスがそうな訳ではないのは分かっているんですが、大きくなればなるほど、ライブハウスの匂いがしなくなって、クリーンな空気感になってしまう。自分自身、フェスが好きでこのイベントをやっている訳ではなく、ライブハウスが好きでやっているので。とはいえ、熱量のあるフェスはもちろん知っていますし、例えば、柏のCAMPASSや、大阪のSTORMY DUDES FESTA、京都のガガフェス、八食サマーフリーライブ……挙げたらキリがないんですけど、ああいう熱量のあるイベントに憧れがあるので、自分たちもそういう空気感を保ったものを作りたいと考えています。
──では、「WiRELESS CARNiVAL」というイベントの規模を大きくしていきたいという考えはあまりない?
規模感を大きくしていきたい訳ではないですね。もちろん採算がきちんと取れて、支払った分は返ってきてほしいなって思いますけど。でも、こんな場所でやったらおもろくない?という考えの方が圧倒的に強いですね。
──お話を聞く限り、ここまでの開催経験を経て、はっしーさんの中でも「WiRELESS CARNiVAL」の存在や、存続に対する思いが強くなっているような印象を受けますが、どうでしょう?
確かに2022年の開催以降は「来年はどうするんですか?」とか「次はどこでやるんですか?」とか聞かれたりもしたし、そういう意識は生まれてきてはいますけど、基本的にはやりたいからやっているっていうのが根底にありますし、色んな人に「こんな楽しい場所どうですか?」と提示をしていきたいという想いが大きいですね。 とはいえ、たくさんの人に来てもらいたいんですが、このイベントを知った人が「面白いイベントだから行きたいな」と思ってくれるのがベストですね。
──今年も開催場所然り、充分面白い内容になっていると思うのですが、今回のテーマについてお聞かせください。
今年は「ALL GEN ENJOY」という言葉をコンセプトにしています。これは、全ての世代が楽しめる、という意味ですね。 こう言葉で並べると、 そりゃそうだろう!そんなことは分かっとるわい!という話なんですけど(笑)今回のラインナップって、パンクやハードコア、メロディックハードコア、ヒップホップのアーティストが多いんです。ライブハウスのシーンやフェスのシーンでも、 みんなが楽しめる場所ってどこかしらに縛りがあると思っているんですよ。今回は特に、そういう縛りを全部ぶっ壊した場所がいいなっていう意図があります。フェス的な快適さもあるし、子供が来ても楽しめる。大人は大人で、野外ステージもありつつ、小箱みたいなステージもあるので、普通のライブハウスに来た感覚でも楽しめる。 そういう様々な性質が融合している、言ってしまえば1つの街みたいなイメージです。年齢性別問わず、みんながその空間にいて楽しい場所にしたい!というテーマでイベントを作っていきました。
──今回は、ライブだけではないイベントや環境も盛りだくさんですものね。
そうなんですよ。先に話したメリーゴーラウンドだったり、芝すべり、スケボーパークもあるんですよ。夜には打ち上げ花火を上げて、盆踊りもある。何でも詰め込めばいい訳ではないと言われたらそうなんですけど、でも、来たら絶対に楽しいという自信があります。
──集客を考えたらジャンルを固めた方が手堅いと思いますし、立地についても都内近郊であれば利便性も高まるとは思うんです。でも、そういった戦略をぶち壊してでも、こことここを組み合わせたらアガる!とか、ここでやったら絶対に楽しい!というように、面白いに全振りできるのはすごいことだと思います。
こことここ一緒に組んだらおもろいんちゃう!?という考え方は、個人イベンターの醍醐味っすよね。そんなことを考えながら組んだ結果が、 61バンドになってるっていうことなんですけど。まあでも、自分も20年ちょっとライブハウスにいる中、本質はあまり変わってないなと思っているんです。かっこいいと思えるものも、きっとあんま変わってない。でも、 見に行くライブって結構年齢層がかたまってるじゃないですか?青春パンク世代のライブ行ったら、その年代の人が多いし、若手メロディックに行けば、若い子が多いし、客層の偏りがある気がするんです。でもやっぱりかっこいい音楽に年齢は関係ないので、もっと知ったらいいじゃんって思うんですよ。そう感じてくれる人がいっぱいいてくれたらいいなと思いますけど、現実あんまりいないんですよね。そういう意味でも、今回のイベントで垣根を壊したいという気持ちが強かったですね。
──でも、今回のラインナップを見ても、若い人からの支持があるバントもいれば、往年のファンがいる大御所もいて、それでいて組み合わせとして面白いなと思いますし、はっしーさんの意図が伝わってきます。
今回のブッキングは 4,5人でやってるんですけど、チームで話していく中で、ジャンルは偏らせても、世代を偏らせたくないなっていう共通意識はありましたし、その意図に準じて自分たちが思い描く、カッコ良さを貫いているバンドをお呼びしました。もちろん今回出演してくれるバンド以外にもたくさんいるんですけどね。それでも、自信を持って楽しませてくれる熱い61組です。
──マップを見る限り、ステージが多いのに動線が良いのもありがたいですね。
室内ステージが2つと野外に3ステージという、5ステージ構成ですね。でも、実は元々室内/屋外含めて全3ステージの予定だったんです。
──増やしたってことですか?
そうなんですよ。これじゃ物足りなくない?となって4ステージになり。4ステージ想定で組んだタイムテーブルがギチギチになってきて、もうここを取っ払って5ステージにしたらいいんじゃない?となった結果の5ステージです(笑) 広い会場を押さえておいて本当に良かった!(笑) でも、休憩できるスペースはたくさんありますし、みなさんやったことがないであろう、メリーゴーラウンドに乗りながらライブを観るというのも可能です。盆踊りもやってますしね。
──ずっと気になっていたんですけど、盆踊りってなんですか?町のですか?
これはですね、開催場所の長生郡長柄町にある、長柄音頭という地元の盆踊りがあるんですよ。野外イベントやる時って、だいたい苦情問題があるんです。 だからこそ、その地域の人たちや周りの人たちと仲良くやっていくのがやっぱり大事になってくるんです。だから御宿でやる時も、 その地域の方々にも楽しんでもらえるように設計していたんですけど、今回の開催にあたって長柄町の町長と話す機会がある中に、長柄音頭の話が出てきたんですよ。そこで考えたんです。みんなモッシュとかハーコーやダイブも好きじゃないですか?ということは、ここで盆踊りを組み込めば、サークルモッシュや左回りの源流となる文化に触れられるなと。
──ははははは!あれって盆踊りの派生だったんだ。
そうですよ!なんで俺たちがモッシュやダイブが好きなのか考えたことあります?これはね、盆踊りからきてるんですよ。というのは半分冗談として、夏祭りの盆踊りって、見よう見まねでやったとしても、普通に楽しいじゃないですか?みんなで踊るというのがいいなと思いますし、テーマの「ALL GEN ENJOY」にも繋がってくる訳です。でも、町長に話を聞くと、そもそも長柄町には長柄音頭を踊れる人が全然いなかったんですよ。そんな中、YouTubeで長柄音頭を配信しているパフォーマーの「盆女」を見つけて、連絡したところ、長柄音頭を踊れる方だったんです。なので、その方に「今回、こういうイベントを長柄町で行うので、是非力を貸してください!」と伝えたら快くOKしてくれたので、「WiRELESS CARNiVAL 2025」では長柄音頭の源流に近い盆踊りを知ることができます。
──すごいですね。町長もさぞお喜びでしょう。
喜んでましたね。これを機に改めて、開催地域の方々との交流って本当に大事にすべきだなと思いました。それこそ2022年の静岡開催時は、地域住民にいくつかご指摘をいただきました。キャンプ場ではあるけれど、建物がない分音が飛んでいっちゃうので、もう少し配慮するべきでした。それもあって、地域の方との相互理解や会話を経た上で、みんなが楽しめるためにはどうすればいいんだろう?と考えるようになりましたし、今回の開催にあたっては、かなり密な交流をしていきました。「WiRELESS CARNiVAL 2025」には、長柄町の物産展も出展しますしね。そういう風に、地域の人たちと共にイベントを盛り上げていくことって、めちゃくちゃ面白いんですよ。その考え方は、「WiRELESS」を通じて得たものですね。自分が楽しめることをやると言った手前あれですけど、みんなが楽しめる場所で、みんなのやりたいことやみんなが楽しいことをしていくことが、結果的に自分自身の楽しいことに繋がっているように思います。
──花火を上げるって一大プロジェクトですよね。広い敷地があってこそ成せるコンテンツですし。
花火、ずっと上げたかったんですよ。仰る通り、花火ってお金の問題じゃなくて、実はあげる場所の問題が大きいんですよね。ロングウッドステーションは様々なロケが行われているので。

──タイムテーブルやステージ割も発表されて、いよいよですね。
そうですね!ステージについては、先に話したように5ステージありますが、ステージ名にも考えがあるんです。メインステージとなるのが、WiRELESS STAGE。その反対側にあるトラックステージが、CARNiVAL STAGEで、イベントタイトルが対になるように付けました。そして、ドリンクカウンターのある、横浜F.A.Dくらいの大きさのステージがCiRCUiT STAGEなんですが、これは自分が柏でやりたいサーキットイベントを想像しながら組んだステージです。VACATiON STAGEは、「WiRELESS VACATiON」と同じような会場作りで、海の雰囲気を感じられるようになっています。そしてCiRCLE STAGEは、松戸のダグアウト2というスタジオで定期開催しているイベントを想定した内容で、15組出演、各バンド持ち時間/転換時間が20分という、超高速回転ステージです。
──え、持ち時間20分!?
いやぁ、おもろいっすよね!これを野外イベントでやるんですから。でも、この短い時間でもアーティストが想いを全部伝え切ってくれると信じてますし、めちゃくちゃ楽しいことになると思います。「WiRELESS CARNiVAL」に関しては、機材を壊したり法的に禁じられていることをしない限りは自己責任の範囲内で遊んでもらって大丈夫なので、やっちゃってください!
──楽しそうでしかしないですね。今週末いよいよ開催となりますが、最後にメッセージをお願いします!
中学校や高校生ぐらいでこういう音楽に目覚めるじゃないですか?でも、周りを見てみて誰も好きじゃない。あれ?かっこいいのにおかしいな?と思って、人に勧めてもよくわかんないなぁと言われる。そういう経験って、きっとあると思うんです。そういう人はクラスに 1人いるかいないかで、すごいマイノリティだと思うんですよ。そんな根本的にはマイノリティである人たちを、野外の広大な会場にたくさん集めようという考え自体が、我ながら結構イカれてると思うんです。でも、クラスに 1人しかいないような人たちの集まりで「WiRELESS CARNiVAL」は出来上がると思うし、その分熱量も格別だと確信しています。きっとそんな熱いイベントになると思っていますし、そんなイベントしたいなと思ってるので、是非楽しみにしていてください。
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▼イベント情報
イベント名「WiRELESS CARNiVAL 2025」
開催場所:ロングウッドステーション(千葉県長生郡長柄町山之郷67−1)
日程:2025年11月22日(土) 10:00~20:00
入場料:7,000円 ※18歳以下無料
ホームページ:下記リンク


【インタビュー】「BREAK A SCHOOL presents“MATSURI 2025”」開催直前インタビュー
2025年10月11日(土)・10月12日(日)の2日間に渡り、八王子MATCH VOX / RIPS / PAPABEAT / RINKY DINK 2ND 8STUDIOの4会場にて、「BREAK A SCHOOL presents“MATSURI 2025”」が開催される。主催のHIROさんのファーストインプレッションは「あの人、ライブハウスでめちゃくちゃよく見かけるな」だった。そこから挨拶し、会えば話し、HIROさんの終電の乗り過ごしを笑い、酒を飲み交わす仲になったのだが、こんなにも全国のバンドに詳しく、距離に関わらず全国各地の現場に足を運ぶ人を私は知らない。そんなHIROさんに、今回10回目の開催となる“MATSURI 2025”に向けての想いやイベントを行い続けることの意味、HIROさんが託したい未来の話などを訊いた。

──「MATSURI」は今回で10回目の開催とのことですが、そもそもどういった経緯で始めたイベントなんですか?
2008年から「BREAK A SCHOOL」という個人イベントを色んなライブハウスでやっていて、それの集大成的なイベントとして始めたのが、会場往来形イベント“MATSURI”です。2012年10月に、秋葉原 CLUB GOODMANと、当時あったスタジオリボレパート2での往来イベントが初回だね。

──そういった往来形式の大型イベントをやってみたいという気持ちが元々あったんですか?
元々は、FOUR TOMORROW主催の「大合奏会」という企画があって、それが 2011年に終わる。みたいな事を告げられた時に「この企画がなくなっちゃうのは嫌だな」、「ずっと続いて欲しいな…」って思った事がきっかけで、終わった直後にふと、終わってしまうなら自分でやってみたいなって、やり始めたんだよね。 引き継いだというよりは、ただやりたかったという感覚で、準備に1年かけていきました。「大合奏会」が終わってすぐにFOUR TOMORROWのメンバーに相談したし、その時にはやっぱり「一人でやるのは難しいよ」とは言われたね。それでも一人でやってみようと思ったし、もし出来なかったら止めようと思ってたけど、結果的には秋葉原で2回やって、2回ともソールドアウトできたから、毎年難しいながらも今も続けられています。


──その時の達成感は半端なさそうですね。
いやあ、マジで結構(達成感は)デカかったね。やっぱり、ひとりでこの数のバンドをまとめて、大きなことを成し遂げるってなかなかないし、正直できるとは思ってなかったからね。だけど、周りの色んな人に助けてもらってできたというのが大きいな。
──そこから会場を秋葉原から八王子に移し、今回10回目の開催となるんですね。最初は「大合奏会」の継承イベントという意味合いが強かったんですか?
最初はそうかもしれないです。あの時は「大合奏会」みたいな企画を続けて行けたら良いなという気持ちでやったのは事実なんだけど、徐々に環境も、バンドも色々変わってきたしね。もちろん「大合奏会」と「MATSURI」はやってる人が違うから、イベント的な色も変わってくるのは当然だと思うし。その中で、「大合奏会」は自分が影響を受けたバンドが多かったからこそ、それを軸におきつつ、若い子たちを巻き込めたら良いなっていう気持ちは常にあったね。自分は「BREAK A SCHOOL」という個人イベントや、「DANCE MY DUNCE」っていうイベントをやってるからこそ、それができると思ったしね。


──そもそも、サーキットイベントというもの自体があまりなかった印象です。
今こそ多いけど、「大合奏会」がやり始めた当時は、まだサーキット形式のイベントやフェスってあまり無かったと思うんだよね。アメリカのフロリダ州で毎年開催されているThe FESTというパンクロックのフェスがあって、俺が個人的に「大合奏会」が日本版のThe FESTだと思ってたからね。(その当時はFESTに行った時なかったけど…笑)「大合奏会」に行けば、アンダーグラウンドというか、自分の知らない世界のかっこいいバンドや、各地方のバンドを知れるいい機会だったなと思う。
──ここまで回数を重ねると、HIROさん個人の理想や信念も生まれているんじゃないかと思いますがどうでしょう?
それはだいぶあるかもしれない。言い方が難しいんだけど、「MATSURI」をやっていく上で、周りとは同じような事をしたくないという気持ちは強くて、自分自身で観て来たかっこいいバンドを呼びたい、観てもらいたい、知ってもらいたいと言う気持ちが強いかも。過去にもたくさんライブを観てきたし、今も観ているからこそ、そのライブハウスの空気感をそのままに、近い距離にいる人達と一緒に何かを盛り上げられたらいいし、少しでも信頼してもらえたら嬉しいなって思っているんだよね。今は色々な趣旨のサーキットやフェスがあるし、そういう場所に自分も行ったりもするし、それはそれで楽しいけど、「MATSURI」でそれを真似てやる必要もないかなって思ってるし、自分が観て来たかっこいいバンドを呼んで、みんながそのライブを観てかっこいい!って思ってくれたら嬉しいし、そういうバンドや人の出会いを共感できたらいいなと思ってる。その分、ラインナップはあくまでも自分目線になってしまうけど、北海道から沖縄まで、直接ライブを観に行って、コンタクトを取って、出会ってきたバンドしか呼んでいないイベントだからこそ、そこはバンドを知らなくても少しは信頼してほしいなと思っています。もちろんどのイベントも主催はそう言う気持ちを思っているけどね。
──今こそSNSが普及しているからこそディグるのも容易になったと思うんですけど、都内で過ごしていたらなかなか出会えないような地方のバンドとどうやって知り合っていたんですか?
昔っから、みんなが知っている音楽とは違う音楽を知りたい!という気持ちが強くて。気になり始めたら、地方のバンドのデモをもらったり、買ったりしてたね。今は無きホームページ(魔法のiらんど)とかでフリー音源を貰ったりとかしてた。そのやりとりの中で、まだお互い顔も分からない状態にも関わらず「この音源が気になるならライブを観に来てよ!」みたいな話が上がるんだよね。その当時、今のように格安航空もなかったから、片道4万円かけて、北海道行ったりして、そのデモのバンドに会いに行く、ということは昔からやってたね。そこから友達になって、そこに出てるバンドを紹介してもらって輪が広がっていった感じだね。各地方のバンドもそういう感じで出会ったのが多いし、今ではみんな名前知ってると思うけど、当時は全然無名だったしね。そういうことを各地方で繰り返しやってきたら、気づいたら輪がでっかくなって、今でも若い子たちや地方のバンドとも繋がっていっているのかもしれないかな。
──その縁が繋がって、東京を中心に全国で行われているHIROさん主催イベント「BREAK A SCHOOL」への出演にも繋がっていくんですね。
そうだね。企画をやり始めた最初の頃は東京で、地方のバンドだけを呼んだイベントをやってたりしてたんだけど、当時は地方のバンドの誘い方もわからなくて、メールで気持ちを伝えるのもうまく言えないから各都道府県のライブハウスに行ってライブ観て直接会いに行って誘ってたし、その中で地方を飛び回った時に「東京でライブしたいんだけど中々ツテがなくて」っていう話を各所でもらったのが始まりで、じゃあ俺がやるよ!みたいな話になってやり始めたんだよね。今みたいにSNS等が無かったし、ライブハウスでやるのもお金も結構かかっちゃってたけど、当時は今よりもスタジオライブができる場所はめっちゃあったから、その分いっぱい企画を打ってたね。
──すごい行動力だ。
その当時、まだ高速道路が片道 1000円行ける時代だったから、週末は友達と車飛ばして「ライブ観に行こうぜ!」って感じで全国の気になるバンドを見に行ってたってたのがやっぱデカいかな。何よりも地方のバンドが東京に来る移動距離と移動時間の大変さを体感出来たのも大きかったかな。そこで地元の友達も沢山増えたし、ライブハウスに遊びに来ていた子たちが「俺らもバンド始めました!」ってやつもいたりして、いろいろと繋がって面白いなと思うよ。そこから「東京でライブしたいからイベント組んでよ」っていう話が各地で言われ始めたのかな、その繋がりで今でも連絡を取り合う深い関係になったバンドもたくさんいるしね。今みたいに便利な時代じゃなかったし、週末のイベント被りの情報なんてほとんど入ってこなかったから、本当に好奇心ひとつで動けてたからこそだと思うけどね。でもそのおかげで、中国地方以外の地方はほぼ行ったかも。
─やっぱり、「BREAK A SCHOOL」然り「MATSURI」然り、HIROさんが直接ライブを観たバンドしか誘っていないんですか?
24歳の時に初めて企画をやってから、それはずっとあるね。企画やる前も年間 100本ぐらいは毎年ライブ行ってたと思うんだけど、企画をやり始めたら、やっぱり人と会って話さなきゃみたいなのが更に強くなって、なるべく人と会ってライブを観てっていうのが基本的に多いかな。だから、直接会った人だったりライブを観たバンドじゃないと出てないような気がする。もちろん例外も過去にはあるけど、基本的には全バンド会って話した人しか呼んでないかな。
──昨年開催の「MATSURI 2024」に出演したCHINA DRUMも例外に当たるんだと思うんですが、あれは界隈を沸かせましたね。
そうだね。俺もびっくりしたからね。でも、実はCHINA DRUMがMATSURIに出演したいと言ってくれているという話は2023年からあって。さっき話したような趣旨の下で自分が選んだバンドではないんだけど、毎年海外のバンドが出演してくれていて、そのバンドに「MATSURIというイベントがある」って伝えてくれる、アンテナ貼ってくれる人達がいて気にしてくれて連絡をくれる人がいるからこそなんだよね。「MATSURI」がそういうふうに伝わってる事は、誇らしい、嬉しい気持ちもあるかな。
──そういった繋がりの中で、HIROさんが誘う上で指標にしていることなどはありますか?
完全に主観になってしまうけど、単純に自分がライブを観てかっこいいバンド、かな。今って、音源やPVなどのコンテンツがすぐに視聴できるすごく便利な時代だと思うんだよね。情報はいくらでも拾えるし、音楽を聴ける状態なんだけど、やっぱり現場に居る人達しか分かんない事が沢山あると思うんだよね。 SNS上でかっこいい!とか、この映像やばいじゃん!みたいな盛り上がり方が多すぎて、変な違和感を感じる時があるし。だからこそ、気になったバンドはなるべく自分の足でライブハウスに行ってライブを観に行くようにしてるかな。もちろん全部行けるわけでもないし、観れない時もあるけどね。たとえその時ライブに行けなかったり、観たライブが良くなくても、実際に話したり、また会いに行ったり、回数を重ねているうちにかっこいいライブの日に出会えた時はその一回で気持ちを持っていかれる時もあるからね。だからこそ、SNS上の盛り上がりよりもライブハウスのリアルの方がいろいろと感じ取れる物が大きいかな。それに俺、携帯に音楽入ってないんだよね。サブスクも登録していないし、通勤中も音楽聴かないもん。
──え、そうなんですか?
そうそう。車の運転している時はCD聴いたりもするけど、基本聴かない。ライブハウスでしか音楽を聴かないから、曲はライブで覚える(笑)
──でもそれは分かります。ライブで覚えちゃったから、曲名が分からないってことあります。
あるある!バンドには失礼になってしまうけど、好きなバンドも好きな曲も沢山あるけど、曲名ほぼ知らないもん(笑)だから、誰かが良いって言ってても、ライブで頭に曲が残っていないと俺の中ではあんまり響いてないのかも。逆に、ガツンときた曲は、ライブが良くても悪くても、ずっと頭の中に残ってるし。年1回開催の「MATSURI」になると、その1年を通して、 年間200本くらい行っているライブの中で頭に残っている曲が1バンドに1曲でもあれば、またライブを観に行って誘いたいと思うし、一緒にやりたいなと思う。今も昔も変わらずにそういう指標でやってると思うかな。
──でも、時間を経るにつれて新しく出会った誘いたいバンドも増えるだろうし、これまでの繋がりも継承し続けたい、といった難しさやジレンマはありそうですね。
長年続けていくと、そういう難しさはやっぱり生まれてくるよね。特に同世代や先輩方に関しては、マンネリ化しているって思われてるかもしれないね。けど、あくまでも「MATSURI」は大型フェスとか大型サーキットとは違くて、個人企画だからこそ、その気持ちは忘れずに、ずっと支えてきてくれた人達と楽しい事を続けたい!を大事にして行きたいかな、この人たちがいてほしい、一緒にやりたいって部分を軸にしていかないと、イベント自体がブレちゃうんじゃないかな。
──そういった信頼があってこその「MATSURI」だと思います。今回、10回目の開催ということで、今までとは異なるテーマなどはあるんですか?
「BREAK A SCHOOL」は17年、「MATSURI」は今年で13年目の10回目ということで、これまでお世話になってた人たちを中心に、今も昔も変わらずにずっとかっこいいバンドに出てもらいたいという趣旨で今年は組んでいったね。だから、最近はあまり活動していないバンドにも積極的に声を掛けていったし、その分断られたりもしたしね(笑)北海道バンドも「MATSURI」に一回出たら出られないという独自のルールを取っ払って、新しいバンドも、過去に呼んだバンドもみんなに声を掛けました。北海道は特に呼びたいバンド多数いるので…。それに、自分の年齢や体力的にも、節目を迎えられるのってもうこれが最後なんじゃないかな?という不安もあったしね。全バンド自分でブッキングしているので、少なくとも1曲はライブを観ようとして毎年全ヵ所を走り回って動いているんだけど、それができなくなったら「MATSURI」をやる意味がなくなっちゃうしね。それに俺が1番全部ライブを観たいと思ってるからね!だから今回は、無理してでも2日開催でやってみようと思ったんだよね。それもあって、この先が分からないからこそ、自分の中ではネクストステージを見据え始めているなという感覚も正直あるかな。


──次世代への継承を含めて、ですか?
そうだね。今でもライブハウスにほぼ毎週のようにいるし、今あるイベントも大事だと思うけど、これからの若い子たちがまた新しい事を作っていく事も大事なんじゃないかなと思うんだよね。例えば、リプレイスメンツ(SEVENTEEN AGAiN主催のイベント)ってすごいじゃん?自分があれと同じような事出来るかって言ったら、俺には出来ないと思うし、他の人も多分出来ないと思う。それはやっぱり企画者によって企画の色があるし、良さがある。バンド企画、ライブハウスのブッキング、個人企画、大型イベントそれぞれにもその色はあると思うし、みんな違って良いと思うしね。「MATSURI」にもみんなが思う色があると思うし、だからもしも「MATSURI」に遊びに来て、面白いなと思ってくれた人がいて、これをきっかけに何かをやり始めたいなという人がいるのなら、これらと異なるまた違う楽しい事をやる人、作る人がいたらいいなと思うし、それの何かのきっかけになったら嬉しいなと思ってるかな。
──SEVENTEEN AGAiNのヤブさんも、リプレイスメンツは自分たちだけのものではないから、同じことをしてくれる人がいたらやってほしいって仰ってました。
うん、分かる。そうなんだよね、絶対何かしらの目標があった方が楽しいしね。これは「MATSURI」が終わるたびに毎回言ってるんだけど、やめる事は簡単だけど、続ける事ってすごく難しいんだよね。バンドもそうだと思うんだけど、それって本人次第だと思うんだよね。もちろん無理してやる必要もないし、いっぱいやる必要もないとは思ってるけども、時間はどんどん流れていっちゃうから、今のうちにやりたいことやっとかないと!とも思う。今までも、人から「同じような企画やってるな」と言われることもあるし、「まだやってんだ」とも言われた時あるけど、俺はそれが楽しいからやってるし!みたいに思うしさ。「大合奏会」を止めたくないという理由から始まった「MATSURI」だったけど、何年もやってたら、この先も色んな人達が面白いなと思ってくれる企画になったらいいし、もう企画ってよりは年に一回の「MATSURI」が大の大人の文化祭的な感じでやって行けたら良いなとも思う。もし今年で最後だったとしても、自分が出来たなら、他の人も気持ち次第で新しい何かが出来るんじゃない?って俺は思ってるんだよね。
──もちろんHIROさんがやるからこその意義はありますけどね。バンドが帰れたり、目指したいと思える場所になっていると思いますし。
今までずっと続けてたし、昔の繋がりやこれまでやってきた関係性もあるからだと思うけどね。でもそうやって、先輩方や若い子たちが連絡をくれるからこそ、「BREAK A SCHOOL」も「MATSURI」も今の形でできているんだなと思うよ。
──今のシーンって、やっぱり10年前とは違います?
シーンという言い方もあまり好きじゃないけど、だいぶ違うと思う。当時も個人イベンターはいっぱいいたし、常に企画しているような世界だったと思うんだけど、今は継続的に行なっている人が少ないイメージかな。俺の中では「SET YOU FREE」がその代表格だね。イベント名を聞いたら、あぁ、あれね!って誰もが分かるイベントってすごいなって思っているし。もちろん、継続してやらないことが悪いとも思わないし、自分たちペースがあるのも分かるし、生活環境なんて変わるものだからね。だからやりたくなったら、やりたい時にまたやれば良いと思ってます。その反面、自分より若い人たちで企画をやってる子や続けてる子って凄いなと思うし、面白い事を続けて行ってほしいなと思うよ。それを見て、遊びに行って、こっちも頑張ろうと思うし。企画をする側になると、人の企画を見て悔しいと思うし嫉妬もしちゃうしね、けどその気持ちってめちゃくちゃ大事だと思うんだよね。もしまた何かのきっかけがあれば、そのままの勢いでやっちゃえばいいなと思うし。そういう大変さを乗り越えた先に見える面白さって絶対あるからね。
──「大合奏会」の継承として始まった、「MATSURI」の過渡期ですね。
そうだね。「MATSURI」はあくまでも自分の主観であって、自分が見れる範囲内でしかやれてないけど、年々、新しく出会うバンドやイベントやってる子達にも出会えて、この先にもまだ面白い事があったりするのはワクワクするね。まだまだ自分もやりたい事もあったりするし、ここ最近は地方へ行くのが楽しいと改めて思っていっぱい行ってるし、そこで生まれる連鎖は時代が変わっても今でもずっとある。SNSは便利だけど、やっぱりライブハウスで起きてることが一番大事だと思うし。その気持ちを揺るがずに続けて来たから、ここまでやってきたと思う。それを支持してくれる人達がいて、今回の10回目を迎えられたと思うので、今年の「MATSURI」に遊びに来てくれた人が、楽しんでもらえた先に何か感じてもらえたら嬉しいですね。
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◾︎イベント詳細
イベント名:MATSURI 2025
開催日程:2025年10月11日(土)10月12日(日)
会場:HACHIOJI -MATCH VOX/ RIPS / PAPABEAT/ RINKY DINK STUDIO 8st-
出演:フライヤー参照
チケット:https://eplus.jp/sf/search?block=true&keyword=MATSURI%202025&kogyo=438621




【インタビュー】nosuri 1stフルアルバム『ほどく気流』リリースインタビュー
3ピースインストバンド・nosuriの1st フルアルバム『ほどく気流』が、2025年5月19日にリリースされた。新体制になって初のリリース、また、バンドとしても初のフルアルバムの今作は<テクニカルとキャッチーさの調和>という、nosuriの主軸となるテーマを実に見事に昇華させているとても明るい作品だ。そんな今作についてを中心に、制作方法や、nosuriが目指す音楽は何なのか?についてじっくりと訊いた。

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── nosuriはどんな流れで結成したんですか?
しんたろ(Gt)「2021年の夏に結成しました。元々は、歌モノのバンドをやろうとして声がかかったんです。でも結局、肝心のボーカルの方が組むのが難しくなってしまって、最終的に残ったメンバーで「一旦、スタジオ入ってみる?」ということになったのが最初です」
──歌モノバンドをやろうと思って、インストバンドになるって結構珍しい気がします。
しんたろ「スタジオでジャムセッションした時に、なんとなく手応えを感じたので、そのままデモを作る流れになりましたね」
──そもそも、インストはよく聴いていたんですか?
しんたろ「いや、それが僕はあまり聴いてこなかったんですよ。なので、立ち上げからメンバーだった帆立に、ポストロックやマスロック、インストを教えてくれ!と頼みました。それらを聴いて、自分に少しずつ落とし込みつつデモを作っていきました」
帆立(Dr)「以前も今も、ずっとしんたろが曲を作っているんですけど、マスロックを知らない人が作るからこその面白さがあったのが良いんですよね」
──nosuriの楽曲って、プレイこそ難解なことをやっているけど、出音やメロディはとてもキャッチーだと思っているので、その理由が垣間見えました。
しんたろ「そう言ってもらえるのは嬉しいですね。帆立に教えてもらった曲はもちろんめちゃくちゃカッコいいんですけど、難解なアルペジオや変拍子の構成力が確立しているものばかりだったので、あえて自分がそこに近づこうとしなくてもいいかなと思えたのが大きかったですね。自分の中で線を引けたというか。なので、そこに自分のルーツとしてあった音楽に寄せていくようにチューニングしていったという感じですね」
──皆さんのルーツとなる音楽ってどういったものですか?
しんたろ「僕は、ギター弾きである親父の影響もあって、ジャズやブルースがルーツですね。そこから、学生時代の軽音部でJ-POPをコピーしていたという経験が加わって、今があります。あと、作曲やインスト音楽に関しては、久石譲を崇拝しています」
なおと(Ba)「僕がルーツとして挙げるとするなら、THE BLUE HEARTSやHi-STANDARDなどのパンクですね」
帆立(Dr)「え、マジで!?そうなんだ!お前、ハイスタ知ってたの!?(笑)」
なおと「そうなんだよ(笑) そこからなかなか自分でバンドを組めなくて、ソロをやろうかな?と思い立ち、マーカス・ミラーやヴィクター・ウッテンに影響を受けつつ活動していました」
帆立「僕は、ゲームのBGMですね。シューティングゲームが好きで一人でゲーセンにも行っていたんですけど、それらの曲を真似したいと思って、ギターを買ったのが始まりですね」
──なるほど、本当に3人ともルーツは全然違いますね。今作『ほどく気流』に関しても、引き続きしんたろさんが作曲を?
しんたろ「そうですね。8割出来ているデモを二人に渡して、フレーズや構成の細かい部分についてをメンバー内で話し合う、という作り方で行いました」
──なおとさんが正式加入したのが昨年の秋なので、かなり時間的制約があったのではないかと推察しますが。
しんたろ「そうですね。加入時にはデモは既に揃っていましたが、なおとが2024年の秋に加入してから今作をリリースするまでの半年間って、全てがかなり急ピッチだったんですよ。なので、今、ようやく一区切りついたところではありますね。この3人でnosuriをやっていくのは実質ここからという感じですし、今作をリリースした時に”ここから始まります”と言っていたのは、そういう理由があります」
──今作を作るにあたっての構想は、いつ頃からあったんですか?
しんたろ「2年前くらいから既にありましたね。アルバムでしか出来ないような、例えば、今作の後半はメドレーになっているんですけど、そういったアイデアを活かして作品を作りたいと思っていました。あと、これは自分の中での重要主題であり、同時にすごく戦ったテーマなんですけど、テクニカルと取っ付きやすさのバランスを追求していきました。メンバーのルーツ的にも引き出しはたくさんあるので、それらのエッセンスはふんだんに入れ込みつつ、共通の軸としては、テクニカルとキャッチーさのバランスを重要視していました」
──リスナーとして、その狙いは見事に融合した作品になっているなと思います。
しんたろ「そう思ってもらえているなら良かったです。このテーマは、今作に限らず、nosuriとしてずっと追い求め続けるテーマなんだと思います。正直、難解にしようとするならいくらでもできるんです。でも、それにだけ特化しても面白くない。インテリジェンスではない位置を目指していきたいです」
──なるほど。インストバンドは歌詞というイメージの共有手段がないですが、しんたろさんのデモからイメージを膨らましていく為の話し合い的なことは行なっているんですか?
帆立「いや、それはあえて聞かないようにしていますね……。意見を聞いてしまうと、どうしてもそっちに寄ってしまうので、自分の引き出しから出すためにあえて聞かないです」
なおと「俺もそうだなぁ。僕は今、デモに沿って忠実に弾いているけど、そこで自分の色を入れながらやって、言われたらやめるということをしています」
しんたろ「そうだよね。僕の役目は、ブレーキをかけるだけなので、違ったら言うし、あとは二人が行けるところまで行ってもらうという作り方ですね。それが自由度を高めている気がしますし、僕が作るだけだとキャッチーに寄りすぎてしまうところを、帆立が着色してくれるおかげてポストロック色が付いてより良くなっていくことが多いですしね」
──今作は、曲自体の長さも短めで、13曲通して聴いても30分未満という短さもポイントだなと思いました。
帆立「これ、いいですよね~。ファスト・エモを踏襲しているように思えますが、しんたろはそれを知らずに素でやっているのが凄いんですよ」
しんたろ「アルバムに収録されている短めの曲はインタールードな役割になることも多いじゃないですか?それはそれで正解なんですが、本作においてはきちんと曲として独立しているものを作りたいなと思っていたという理由がまずあります。あと、これらの曲は、元々のデモの段階ではもっと長かったんですよ。それらを、帆立のファーストインプレッションでしっかりと精査してくれて、短くなっていきました。僕自身、本当にこれでいいのか?と悩むことが多いので、そういう意見はありがたいですね」
帆立「一番難航したのは、「hane」だったね」
しんたろ「この曲は、なおとが加入する前に、3つくらいまで構成案があったんですよ。後半でイントロのフレーズに戻る構成だったのを削って、4分から3分になりました」
──でも、結果的にそれが今の時代に合っているようにも思いますし、この短さでもしっかりと自己表現をして、リスナーも満足できる仕上がりに至ったというのは、バンドとしてもかなり自信に繋がるんじゃないかと思います。
帆立「それはすごく思いますし、構成的にもめちゃくちゃ気に入っています。インストやマスロック界隈って曲自体が長くなりがちなので」
しんたろ「もちろんそれによる展開力が一つの美学かもしれないけどね」
なおと「でも、他の人が真似できないことをやっているなと思うよ。しんちゃん、全部が独特だからさ。同じバンドの中での曲って、結構に通ったブレイクや展開があったりするものだと思うんだけど、それがないんだよね。だから面白い」
しんたろ「ジャンルによくある常套句をインプットしていないから出てこないんだろうね。それが新鮮さに繋がっているのかも。でもこれって、元々あるポストロックへのアンチテーゼでは全くなくて、リスペクトがあるからこそ、自分は別のフィールドだなと思えているんですよね」
──最後のメドレー的な構成はどういった意図で?
しんたろ「これは、昔から愛聴しているビートルズの『アビイ・ロード』から着想を得ました。アルバム表現としてやりたかったことのひとつで、ずっと温めていたものです。メドレーとして曲を繋げるというのも、ただ曲間を無くすのではなく、メロディやコード、転調といった展開で次に繋げるという意識は持って作りました」
──次曲への繋がりでいうと、「tsuibo」から「futashika」への繋がりもとても良いですよね。ライブ感を感じるというか。
しんたろ「ああ、でも確かにその繋ぎに限らずライブの空気は意識していますね」
帆立「そうなんだ。音源意識だと思ってた」
しんたろ「ライブって、見る側もエネルギーを使うから、正直お客さんだって結構疲れるじゃないですか?集中力が持続しないというか、自分がまさにそのタイプなんですよ。尚且つ、そこに歌がないとなると、構成力や展開力、聴きやすさが肝になってくると思うんです。本当はもっと効率の良い弾き方もあるけど、ステージ映えする弾き方をあえて選んだりはしています」
なおと「へえ!あれじゃなきゃ弾けないもんだと思ってた」
帆立「スタジオでも、何やってんだアイツってなるもんな」
しんたろ「そういう意図があるんですよ(笑) 似たようなフレーズが候補として上がってきたら、ステージ映えするというか、観ている人に驚きを提供できる方を選んでます。というのも、小学生時代から和太鼓奏者だったというのも影響しているかもしれないです。和太鼓の師匠に同じ音でもかっこいい叩き方をしろって言われてきたので、それが無意識に活きているんだと思います」
──なおとさんは、そういったライブパフォーマンスを意識したアレンジはするんですか?
なおと「いや、僕の場合はふたりを支えることに徹しているので、そういうパフォーマンス的な観点からのアレンジはしていないですね。どうしたらふたりを目立たせられるかということを考えていますね」
帆立「実際、バランサーだよね。屋台骨的な」
しんたろ「ベースという楽器の特性上、何だかんだコード進行もリズムも支配しているのはベースだしね」
──バランスのいい3人ですね。
しんたろ「そうですね、すごいやりやすいです。「jukai」という曲は既発曲だったんですけど、アルバムには入れる予定はなかったんです。でも、なおとが入ったことで格段に化けたので、急遽収録することにしたんですよ。そのお陰でアルバムのバランスもとても良くなりましたしね」
──あの曲が中盤にあることで、流れも締まる感じがしますよね。
帆立「曲順は悩まなかったの?」
しんたろ「うん、悩まなかったね。デモの段階で流れは見えていたし、何なら打順を組む感じで必要なポジションを埋めていくように各曲を作っていったからね。ふたりも何の意見もなく、そのままOK出してたよね」
帆立「うん。これでしかないって感じだったし、しんたろの曲に対する解像度の高さに驚いたわ。でも、タイトルは結構議論したよね?」
しんたろ「そうだね。最初は”気流”だけだったんですよ。nosuriって鷹の名前なので、それも相まって上昇気流のようなバンドを動かすエネルギーをイメージして付けたんです。そこから、13曲の楽曲を用いて自分たちの挑戦を細分化していくことを、”ほどく”という言葉に置き換えました。柔らかい語感にもなりましたし」
──ジャケットも素敵ですよね。
帆立「これは俺が覚醒して生み出したアイデアです」
しんたろ「最初は羽だけだったんですけど、子供の手に持たせて、しかもそれを丸ごと写すことでピュアさも表現できたという、最高のアイデアだったね」
──アートワーク込みで、とても明るい作品ですよね。希望に満ちているといいますか。
しんたろ「本当にそうですね。ダークにはしたくなかったですし、コードも、全部ではありませんが基本は明るいテンションを採用してきました」
帆立「なるほどね~(ここでビール3缶目を開ける)」
──今作をきっかけにnosuriが始まっていくという話もありましたが、次作に向けても考えているんですか?
しんたろ「今作はコードワークやギターの展開力で魅せる作品だったので、次はアンサンブルで展開していこうという気持ちはありますね」
帆立「なおとが入ったことで格段に幅が広がっていったよね」
しんたろ「なんでも面白がってくれるしね。でも、冷静な視点も併せ持っているから、僕と帆立が気づかない点を細かく提示してくれるからありがたいよね」
──帆立くんは、どういう点を重要視しているの?
帆立「僕は自分が叩いていて楽しいか、ですね。これは本当にリスペクトを持って、色々なバンドのフレーズを引用したり、勝手に繋ぎ合わせたりもしているので……」
しんたろ「究極の音楽ファンだもんね」
──でも、そういう構築の仕方って、nosuriのバンドらしさにも繋がっている気がします。さまざまな性質を解釈しながら、自分たちらしく再構築するところとか。
しんたろ「ああ、確かにそうかもしれないです。引き算/足し算それぞれの美学があるけど、そのどちらかひとつを頂点にするのもまた違うと思っているので。そこの塩梅は難しいながらも、バンドとしてずっと追求していきたいテーマですね。テクニックの殴り合いもしつつ、生活の中で聴ける作品にできたと思います」
帆立「掃除機かけながら聴いてほしいですね」
なおと「勉強のBGMとしても聴けるって聞いたよ」
しんたろ「僕は筋トレ中に聴いてほしいな~(笑) ジャズなんかはまさに演奏は殴り合いみたいでも、カフェや団欒に溶け込む力も持っている。もし聴いてくれる人にとってそういう作品になったのであれば、バンド冥利に尽きますね」
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◾︎nosuri:令和三年夏結成の3ピースインストバンド
Xアカウント:https://x.com/nosuri_band
配信等リンクまとめ: http://lit.link/nosuriinst
★リリースイベント情報

2025.6.14(sat)@静岡・三島ROJI
nosuri presents.「ほどく気流」release party 【DAY1】
Open 16:30 / Start 17:00 Adv ¥2900 / Door ¥3400
Guest:mogro temporary / /naname / SCGT

2025.7.20(sun)@東京・吉祥寺WARP
nosuri presents.「ほどく気流」release party 【DAY2】
Open 17:30 / Start 18:00 Adv ¥2900 / Door ¥3400
Guest:ante / synchre /SONOSUKIMAKARA
【ライブレポート】Aftermaths of the perfect horizontal urban development pre.「下連雀にて'25」(2025/5/3)
インストゥルメンタルロックバンド・Aftermaths of the perfect horizontal urban development主催のイベント「下連雀にて'25」が、2025年5月3日(土)に吉祥寺NEPOにて行われた。本公演は、総勢11組、全組インストバンドという刺激的なラインナップ!言葉がもたらす共感はないけれど、歌詞がない分、音ひとつに想いや衝撃、その全てを込めて放ち、聴者を刺し、高揚させる──それがインストの良さだ。そんなインストゥルメンタルミュージックの醍醐味をこれでもか!と堪能できた珠玉のイベントの様子を、各バンドのショートライブレポートと共にお届けする。
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◾︎ EiNy
1番手のEiNyは、鍵盤の優美で荘厳な旋律とパワフルでメロディアスなサウンドが絡み合い、初っ端からオーディエンスの意識を強く惹き込む。時にダンサブルに、絶えずドラマチックにオーディエンスを魅了していく様は見事。イベントの雰囲気を作るという役目を担うトップバッターとして、最高の空間を作り上げた。

◾︎ 六花(Licca)
初音からドスの効いた太い音で、地鳴りを沸き起こすかのようにスタートさせた六花!曲中に「ワン、ツー!」という掛け声もあり、ノリやすさやキャッチーさを宿しつつ、変拍子や気持ち良いリフレインを盛り込みながら色彩豊かに展開していく。活動スタートから1年未満だが、そのセンスは煌々と光っていた。

◾︎ ELBOWROOM
冴え渡るキメの数々を織り交ぜた、刺激的でパワフルなロックサウンドでオーディエンスの身体を揺らしたELBOWROOM!疾走感(というより爆走感?)と重厚感の双方を感じられる情熱的なライブに感化されて、会場内の温度も変わったのが肌で分かった。「パッション・インスト・バンド」という自称の所以を体現するべく、エネルギッシュなライブでフロアを沸かせた。

◾︎ Vivi La'vance
名古屋のVivi La'vanceは、今日が東京での初ライブとのこと。研ぎ澄まされた緻密なアンサンブルとオーディエンスの芯を喰らう強靭なビートが絡み合う、逞しくもありながら遊び心がたっぷりあるメロディに自然と身体が揺れる。真っ向からブチ上げたり、セッション的に徐々に熱を帯びていったりと、様々な表情を見せていくグルーヴィなライブだった。

◾︎ ue
1曲目から爆発的スタートダッシュを決めたue!密度の高いアンサンブルの中を、エモーショナルなメロディが泳いでいく様は感動的。清涼感のある軽やかなタッピングとエネルギッシュなボトムの掛け合いが気持ちよく、メロディに豊かな色彩を寄与していく。言葉のない物語を生み出す彼らの音楽は、私たちの想像力を刺激してくれる。

◾︎ nosuri
ムーディーな雰囲気でしっとりと始めたかと思いきや、手数爆盛りドラムとギター&ベースの超絶技巧なプレイで会場の空気を一気に引き込んだnosuri!展開予知不可の綿密かつダイナミックなライブは圧巻!ギターのタッピングがもたらす疾走感とボトムの重厚感が相まって、スピードをつけてどこまでも駆け抜けていく。年内リリース予定のアルバムからも新曲を演奏し、この先の楽しみを増幅させた。

◼︎ SONOSUKIMAKARA
かっこよかった(^_^)
意:雷の如く放たれる硬く鮮烈なドラムとキャッチーかつメロディアスなギターが絡み合い、独創的な世界観を構築するSONOSUKIMAKARA!アグレッシヴな楽曲と軽妙なMCでオーディエンスを魅了しながら、新曲を交えた超スペクタクルライブを繰り広げる。トリッキーでユーモラス、それでいて絶妙な間を使いこなしてビシッとキメるところに痺れた!

◼︎ Out of the Vox
同期を疑われるほどに弾きに弾きに弾きまくり、叩きに叩きまくるバンド、Out of the Vox!速い!デカい!巧い!の三拍子が完璧に揃ったアンサンブルが我々の耳を容赦なく鋭く刺してくる。爆撃機の如く連射される大量の音の粒をシャワーのように全身に浴びることでしか得られない高揚感と爽快感が病みつきになるライブだった。

◼︎ SCGT
地下のライブハウスに風が吹き抜けた──そう思わせてくれるSCGTの音楽は、聴く者に鮮やかで雄大な景色を見せてくれる。柔和な表情をした美しい旋律としなやかかつどっしりと構えたボトムの調和が、非日常世界へと誘う。エモーショナルで温もり溢れる楽曲の数々が、誰しもが知らぬ間に日々蓄積している疲れを癒し、明日を生きる英気となってくれるようだ。

◼︎ ilyons+カズマ
KILLERBONZEのメンバーの体調不良に伴い、急遽、ilyons+カズマという特別編成での出演となった。それぞれが即興的に鳴らし共鳴するアンビエントサウンドに触れると、自然と心に安らぎが訪れるのを感じる。3人が生み出し、それらを紡いで構築される芸術性の高い音世界に、心身ともに没入できる極上の音楽体験だった。

◼︎ Aftermaths of the perfect horizontal urban development
インスト祭りの大トリは、主催のAftermaths of the perfect horizontal urban development!ラストに相応しい祝祭感のあるダンサブルな楽曲の数々が、オーディエンスの心身を否応なくブチ上げていく。締めるところはビシッと締めて、遊ぶところはとことん遊ぶ。メンバーの人間性からも引き継がれているであろう、そういった精神性を携えたメロディの緩急がたまらない。変拍子特有のノリにくさを打破し、キャッチーでメロディアスな楽曲を生み出すセンスが光る楽曲の数々で進撃していく様は圧巻!ユーモアと堅実さを融合させたライブに、心の底から楽しませてもらった。


至極当たり前ではあるが、歌詞がなくてもオリジナリティは生まれるし、感動するし、身体も心も踊る。歌詞がないからこそ想像できるものがあり、だからこそ解釈は無限だ。音に愚直に向き合い、日々鍛え上げているインストバンドには果てしない可能性があるんだとひしと感じた。Aftermaths of the perfect horizontal urban developmentが、インスト文化の爆心地・三鷹下連雀に新たな文化を築き上げた、記念すべき一夜だった。

(さすが、二階堂の申し子バンド。安すぎる)
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◾︎写真:きたゆい(https://x.com/yui_kita26)
◾︎Aftermaths of the perfect horizontal urban development(アフターマスズオブザパーフェクトホリゾンタルアーバンディベロップメント)
東京を中心に活動する4人組インストゥルメンタルバンド。爆音・爆走・爆楽なライブで踊らせ、MCで笑わせ、バーでは二階堂を浴びるほど呑む、カッコいい兄ちゃんたち。
http://ttps://www.instagram.com/aotphud/
▶︎ライブ情報
6/2(月)@新宿NINE SPICES
他、構想中
◾︎ EiNy
◾︎ 六花(Licca)
◾︎ ELBOWROOM
https://instagram.com/elbowroom_band/
▶︎新作音源鋭意製作中!!
◾︎ Vivi La'vance
https://www.instagram.com/vivilavance
◾︎ ue
◾︎ nosuri
1st full album 『ほどく気流』リリース
▶︎5月下旬 配信開始
▶︎6月中旬 CD発売開始
▶︎ライブ情報
リリース記念 自主企画 LIVE
・6/14 三島ROJI
・7/20 吉祥寺WARP
配信等リンクまとめ http://lit.link/nosuriinst
◼︎ SONOSUKIMAKARA
▶︎リリース情報
「KILIG!」(4/26リリース)
https://big-up.style/e9vvYaTgpD
▶︎ライブ情報
8/23(土)「フミキモのヤりたい放題」@吉祥寺WARP
フミキモ(Dr)個人生誕祭企画です!
◼︎ Out of the Vox
https://www.instagram.com/ootv_info
◼︎ SCGT
https://lit.link/shichigatsu07music
▶︎ライブ情報
8/23(土) 自主企画イベント開催予定(後日発表)
◾︎KILLERBONZE
▶︎ライブ情報
6/13(金)「未踏ノ最果テ17」@吉祥寺NEPO
OPEN/START 18:00/18:30
チケット料金:通常2900円 /学生1000円
【インタビュー】LONG PARTY RECORDS、実店舗オープンに向けた想い
オンラインCDショップ・LONG PARTY RECORDSが、2025年4月5日(土)に、東京・北千住、カフェ「PECKHAM」の2階に実店舗をオープンした。CDの売り上げが衰退傾向にあると言われるこの時代に、都内のど真ん中ではなく、北千住という街にCDショップを構えるという決断に少なからず驚きはあったけれど、やっぱり音楽がある場所が増えることに純粋にワクワクした。そんな今回の出店について、どういう想いの上で決意したのかを主宰のサクマユウヘイと横井香奈のふたりに訊いた。

──LONG PARTY RECORDSが動き出してからどれくらい経ちました?
サクマ「今年8年目ですね。僕がLD&Kという会社で働いていて、そこのボスの菅原さんに”ライブハウスで遊んでいるんだったら、HOLIDAY! RECORDSのパンク版をやれば?”と声を掛けてもらったのがきっかけではあるんだけど、僕自身そういう仕事に対する興味はずっとあったので、前向きに始動した感じですね。最初は7,8タイトルくらいから始めて、そこから徐々に増えていって、現在は延べ800タイトルほど取り扱っています」
横井「私が入ったのは、1年半くらい前ですね。元々渋谷のタワーレコードで働いていたのもあって、CDに対する愛着もあったし、CDの帯や歌詞カードといったフィジカルならではの情報が好きだったので、ユウヘイさんが手伝いを募集したタイミングで自分から立候補しました」
サクマ「他にも候補者はいたんだけど、元レコ屋店員でありライブハウス店員であるということと、言うことを聞いてくれそうな奴だったというか(笑)。自主的に色んなことをやってくれそうなのが横井だったんだよね」
──実店舗でのCD販売とは違う難しさはあります?
横井「オンラインでの販売だと、実店舗でのポップのような視覚的に入ってくる情報がどうしても少ないんですよね。これはユウヘイさんともいつも話しているんですけど、どういう動画や文章を載せたら人の目につくのか?は、結構考えてます。あと、顧客の嗜好が読み取りづらいからこそ”これが好きならこれもおすすめ”といったアプローチを打ち出しにくいという点は、オンラインならではだなと思います」
サクマ「今のLONG PARTY RECORDS(以下、ロンパリ)の在庫管理と発送は、外部に委託しているんですよ。だから、正直、”これを買った人はこれも買ってます”といった顧客情報まで追いきれてなかったんです。でも、店舗運営をするようになったら、それも全て自分たちでやるから、その点は解消されるのかなと。絶対大変だけどね」


──月どれくらいのペースで発送しているんですか?
サクマ「リリースの兼ね合いが大きいから一概には算出できないけど、月100~200くらいかな?これが多いのか少ないのかも分かんないし、怖くて他のCDショップの人に聞けないけどね(笑)」
──先ほどの話に少し戻りますが、SNS等のオンラインで宣伝する上で気をつけていることってなんですが?
横井「あとは、動画の埋め込みですね。ワンクリックしなくても流れるようにしています。店舗と違って視聴機がないので、その動線は気をつけてます」
サクマ「今、フィジカルを大事にしているバンドって、メロコアや日本語ロックが多いんだけど、そう言うバンドって地元をレペゼンしていることが多いから、その点は告知の中に盛り込むように意識しているかな」
──CDが売れないとか、配信リリースだけするという話も確かに多く聞くようにはなりましたけど、その流れに動じずに自分たちの誇りや先輩から受け継いだ美学を貫く若いバンドもいるのも事実ですしね。
サクマ「そうだね。あとは、サブスクって申請すれば結構あっさりと配信停止にできるんですよ。例えばバンドのプロモーションの一環で、今回のアルバムに再録するからサブスクに上げていたデモ盤は配信停止する、という動きって少なからずあるから、そういう事態が起こる可能性を考えると、やっぱりフィジカルを持っていた方がいいなと思う」
横井「サブスクだと、手元にあり続ける確証がないからこその不安がありますよね。先ほどの話にもなるんですけど、作り手のこだわりや工夫を感じられるのは物の良さだと思います」
サクマ「それこそ大阪のPOTは、CDの帯の裏側に毎回メッセージが書いてあるんだよね。そういうことだよね?」
横井「そうです!10年前くらいにSUPER BEAVERのCDを買った時に、そういう工夫がされていたんですよ。CDってこういうこともできるんだ!と知った時の感動をいまだに覚えていて、それもあってやっぱりCDの良さは大事にしています」
──取扱アーティストを選ぶときの基準はあるんですか?
サクマ「矛盾しちゃうけどサブスクで見つけたり、ライブハウスの対バンでライブを観て声掛けていく感じですね。あとは、メロコアって書いてあったらとにかく声掛けちゃうなぁ。1stでは作りが粗くても、作品を重ねるごとに良くなっていくこともあるし」
横井「シンプルに、相手にとってメリットになるかどうかは考えてます。ロンパリに置くことがバンドのメリットにひとつでもなるのであれば声を掛けますし……」
──それはジャンルの話?
横井「そうですね。どのジャンルでも置けるレコ屋ももちろん魅力的ではあると思うんですけど、そこに互いが旨みを感じられないと続いていけないとも思うので、そこは自分なりの指標を持って声をかけています」


──そしてこの度、遂にLONG PARTY RECORDSが実店舗を持つに至った訳ですが、それはずっと目標としていたことだったんですか?
サクマ「目標というよりは、いつかお店を持ちたいなという思いがふんわりあったって感じですね。経営も何も知らない自分が実店舗を持つに至ったのは、FILTERのリョウタが場所を用意してくれたこと然り、周りに助けられてできたことだなと思います。あんまり自分からは動かないタイプなので、オンラインストアを作った時と同様に、これやれば?あれやってみれば?という声掛けをしてくれる人が周りにいたから、というのが大きいですね。場所に関しては、後付けにはなるけど、地元の足立区でできたというのも一つの縁だなと思います」
横井「同じチームで他人事みたいな感想なんですけど、”ユウヘイ、夢叶って良かったね!”って思いました」
全員「(笑)」
サクマ「ありがとな(笑)」
横井「ロンパリに入った当初から、いつか店を持てたらなぁ、という話は聞いていたので、それに対する具体的な話が割と突然に降ってきたので、驚きつつも、よかったね!という気持ちが大きかったです(笑)」
サクマ「自分もタワレコで働いてはいたけども、個人店に対する憧れがめちゃくちゃあったんですよね。熊谷のMORTAR RECORD、吉祥寺のTOOSMELL RECORDS(現在は閉店)、富山のUNDER THE STAGE、名古屋のRECORDSHOP ZOO、大阪のFLAKE RECORDS、奈良のTHROAT RECORDSなど、かっこいい個人店があって、セレクトショップならではの良さを感じたんです。でも、いざ自分がやりたいと思った時に、どうやったらいいのか分からなかったんだよね」
──そのきっかけが、LONG PARTY RECORDSが入る建物の1階にあるカフェバー・PECKHAMだったと。
サクマ「そうだね。PECKHAMでは自分も企画を打たせてもらったし、働く人も顔見知りだしということもあって、オーナーのリョウタと話しつつ、”ここなら、上でCD取り扱って、1階でライブして、お酒飲んでって感じでお互いに良い相乗効果を生み出せるんじゃない?”ということで、決めました。あと、東東京にはこういう場所が少ないっていうのもありますね。だから、こっちを拠点に活動をしているバンドマンは結構喜んでくれたし、まだまだこれからだけど、作って良かったなと思います」
──ライブスペースが同建物内にあるのも大きいですね。
サクマ「8年やっていると、バンド側から取扱って欲しいと申し出てくれる機会も増えてきたんですよね。だから、この場所で実際に話して、ライブしてもらって、関係を深めていくことができたらより良いかなと。CDだけで食っていけたらもちろんベストなんだろうけど、今は楽しい半分、仕事半分で繋げていっている段階かな」
──あとは北千住が遠いというイメージをどう払拭していくかですよね……。
サクマ「ねー。実際距離はあるんだけどね、新宿からも30分かかるし。でも一方で、30分だぞ?とも思うし。どうやったら人が来るかは、とりあえずイベントをたくさんやっていくしかないのかな?って感じかな。過去2回行ったイベントも、それなりにお客さんも来てくれたし、バンドマンも楽しんでくれたし。だから今は、呼ばなきゃ来ないという事実を受け止めつつ、その先を模索していこうという段階ですね」
横井「でも、お客さんから、”次のイベントいつだっけ?いつもの場所?”って感じで言われることもあって、もうロンパリの拠点が北千住だと思われているんだなと思いました」
サクマ「それは嬉しいね。やってよかったわ。4月はロンパリ主催の企画のほかにも、イベンターやカメラマンの持ち込みの企画もあって、ライブだけではなく写真展も計画しているので、この場所で色んなことをやっていけたら面白いなと思っています」


──オープン日は4月5日ですけど、なんでこの日だったんですか?横井主催の企画名にあやかって、大安とか?
サクマ「いや、元々この場所に入っていたリョウタの事務所の移転を鑑みて設定したんだけど、この日って何の日なんだろ?」
横井「調べてみますね!」
……
リョウタ(FILTER)「あ!!仏滅だ!!!」
全員「(笑)」
リョウタ「仏滅の日には次のようなことを避けると良いとされています、移転や開店」
全員「爆笑」
サクマ「勘弁してくれよ!まあ、無事に開店すりゃ一緒でしょ!!」
──いやあ、めちゃくちゃ良いズッコケっぷりでした。これからの目標はできました?
サクマ「とにかく店を潰さないことかな?あと、2店舗目ができたらいいねみたいな話もしてもらうんだけど、正直そこには今のところ興味がなくて。それは、この店が自分の地元にあるということが大きいんだけど、8年前も今も変わらず、人に恵まれているからこそできたことではあるから、そうしてできたこの場所をしっかりと守りつつ、やる以上は街に受け入れられていきたいですね」

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◾︎写真:Ishikawa Hayato
https://www.instagram.com/umi_hayato?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA%3D%3D
◾︎LONG PARTY RECORDS
デモ音源メインのオンラインCDショップ。2025年4月には、東京・北千住に実店舗をオープン。
◾︎店舗情報
店名:LONG PARTY RECORDS
住所:〒120-0026 東京都足立区千住旭町22-5 2F
担当:佐久間雄平 / 横井香奈
TEL:03-6812-0155
営業時間:12:00 - 21:00
【ライブレポート】tetoteワンマンライブ「溢れて、零れて、落ちた」(2025.03.07)
2025年3月7日に高円寺HIGHにて、tetoteのワンマンライブ 「溢れて、零れて、落ちた」が行われた。今回のイベントは、昨年2024年3月7日に行われたイベントを、同日/同名/同会場にて再度行うという趣旨の二部構成のイベント。前回の公演ではしば(Vo)の声の調子が芳しくなく、本人たちも心残りがあったようで、今回はリベンジの意味も込めて行われた。tetoteの二人での演奏のみではなく、第一部mellow set『present world』では、yukako(Hello1103)のコーラスと、しおり(NA/DA)によるチェロが参加し、第二部『my universe』では前回に引き続きyukakoによるVJでの演出もあり、よりパワーアップした世界観を構築した。

期待感が充満したフロアに、荒川大地(Gt)としば(Vo)、yukako、しおりの4人が登場すると、濃いスモークが霧のように漂う中、チェロの調べと透明感のあるコーラスと共に「街燈」の幻想的な演奏と歌で幕開ける。荒川も着席しながら、一音一音丁寧に出していく。哀愁を漂わせる「萌葱」の流線の中、泳ぐように言葉を紡いでいくしばの歌は、時にあどけなく、時に大人びた表情を見せていった。「アイスクライマー」では、楽曲の世界観を可視化させるような青と白を基調とした柔らかな光に包まれ、音と遊び、踊るようにはずんでいく声は、伸びやかで軽やかで心地よい。sayuri(キンヨウノヨル)による衣装も美しく、しばが曲の波に乗って動く度に袖のレースがふわりと揺れていて、その姿が華やかだった。エレクトリックな音楽と、しばのたっぷりとした歌の相乗で作り上げていく独創的なtetoteの世界に、優美なチェロとコーラスの音と声が乗ることで、更なる奥行きと色彩が加わる。全てを包み込むような壮大で、けれども体温が伝わる演奏の数々に、オーディエンスも気持ちよさそうに包まれていた。

生命の母とも言われる海を航海するということは、昔から人生に例えられることが多い。時に荒波が立ちはだかることもあるけれど、一方で心を穏やかにする安らかな平穏も訪れる。そうした根源的なテーマを歌う未音源化楽曲「shipwreck」をじっくりと届けた彼らは、「まぼろし」へと誘う。人は、愛で心が完全に満たされることは一生ないのかもしれないし、そこで生まれる隙間を”孤独”と呼んでいる。けれど、その余白があるからこそ人は迷い、惑い、疑いながらも、自分にとっての正解を求めていくのだろう──そうした人間の根源的なテーマをポエトリーリーディングと共に柔らかく届けつつ、続く「drink me」の甘美な雰囲気の中、第一部は幕を閉じた。

余韻を残した休憩時間が終わると、第一部の白い衣装からのお色直しを経て、黒を基調とした衣装に身を包んだふたりが登場。「my univers」では、ビリビリと空気を揺らす低音と共にエネルギーで会場を満たす。浮遊感を伴ったライブで作り上げた第一部の柔和な雰囲気と異なり、エネルギッシュな側面でオーディエンスを魅せる。「死なない心」にて、身振り手振りを交えながら、常に笑顔で、時にこちらの心内を見透かすような鋭い眼光で目配せするしばは、荒川が作り出すダンサブルなメロディとリズムと一体になりつつ「楽しくてどうにかなっちゃいそう」と投げかける。ライブで人と人が共鳴することで得られる喜びを知っている真面目な彼女たちのことだから、きっとこの1年間、前回の公演のことがずっと頭の片隅にあったのだろう。それを今回、最高な状態で塗り替えることができた喜びは一入だっただろうし、音楽と戯れるように自由に遊ぶしばと、自在に音を生み出す荒川の姿を見ていたら、グッとくるものがあった。


「つたない宇宙」の鼓動のように力強く弾むビートや、重ねられたサウンドが小さな変化を重ねながら脈々とうねっていく様は、まるで生き物かのよう。細やかな音の粒が積み重なることで音楽を形成していくこの曲では、その名の通り生命の神秘を想起させる音楽でオーディエンスを包み込んでいった。「パラレル」では、人と人とが想い合う中で生まれる、純粋さと歪さといった双極にある両方を真心込めて繋ぎ合わせるように、丁寧に言葉を紡いでいく。人と人が惹かれ合うことで生まれる求心力があるからこそ、人は前に進むことができるのだとアップテンポなサウンドに乗って諭してくれる。ひとつの恋を歌った「痺れ」をイベントの最後の曲として選んだしばが、まるで恋する少女かのように、フロアにいるひとりひとりの顔を覗き込むように見つめていたのが印象的だった。
様々な愛の形を歌い続けるtetoteが創り出す、完成度の高い世界観。自ら楽しむことが、人を楽しませることに繋がることを彼らは知っているからこそ、私たちはtetoteの音楽に心身共に没頭できるのだ。それを身をもって感じることができた、極上の時間だった。


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◼︎tetote
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◼︎photo by yфu
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【インタビュー】「せだい 2nd Album release tour "Excavation" tour final -tositsuki- 」開催直前!せだい× yubiori 対談
せだいの2ndフル・アルバム『Underground』が2024年11月27日にリリースされ、今作のツアーファイナル公演となる「せだい 2nd Album release tour"Excavation" tour final -tositsuki-」が、2月23日に下北沢近道にて行われる。
本公演はyubioriとのツーマンで開催されるのだが、この日が久々の共演とのこと。年齢も近く、一時期は月に何回も対バンしていたというせだいとyubioriが、”年月”を経てこのタイミングで初のツーマンを行うというこの機会に、両バンドの関係性や、同シーンで活動してきたバンドとして互いにどう思い合っていたのかを紐解くべく、インタビューを行った。

──せだいとyubioriが初めて対バンした時のことって覚えてますか?
佐久間ゲンソウ(Vo/Gt)「2020年12月19日に、下北沢近松の【NOW】というイベントで初共演しました。その時は、せだい/yubiori/Pygmy I’m Cricket/TTUD/träumerei/aoniが出ていたよね」
アサミリンペイ(Gt)「僕がyubioriとは別に前にやっていたバンドで、せだいとは対バンしていたんですよ。その頃にyubioriもぼちぼち活動していくか!という時期だったということもあって、”せだいっていう面白いバンドがいますよ”と紹介はしていました。それも2019年くらいのことなので、僕個人としてはせだいと長い付き合いです。ちなみに、うんにょん(清水 正太郎)さんとは、僕が高校生の頃には既に出会っていたんです」
──え!高校生時代に?
アサミ「僕がハヌマーンのコピバンをやったことがあったんですけど、その時にうんにょんさんとゲンソウさんがオリジナルバンドで出ていたんですよ。僕はそのバンドのことをなぜがずっと覚えていたんですけど、せだいと出会ってからうんにょんさんと話すようになって、今までやってきたバンドを羅列してもらっていた中でピン!ときて知るという、奇跡みたいなことがありました(笑)」
清水 正太郎(Gt)「あれは衝撃だったな~!(笑)せだいとyubioriが出会った頃は、まだコロナ禍だっということもあり、配信ライブばかりやっていた時期だったんですよね。そこから少しずつ、アクリル板越しだけどライブハウスでライブができるようになってきて、【NOW】も有観客でライブができた日なんですよ。その日は yubioriが1番手で、ジミー(タムラヨシアキ)が、”横浜から来ましたyubioriです。最初からクライマックスで行くぞ!”って言って演奏して、その瞬間に久々に生音をバンッ!と浴びて、”あ、ライブってこうだったわ”と思い出させてくれたのは覚えてますね」
タムラヨシアキ(Vo/Gt)(以下、ジミー)「その時のライブはまだyoutubeで観れますからね。伝説のライブですよ」
清水「そこから半年くらい経って、ジミーと一緒に八景島で海見ながら缶ビール飲んでた時に言われた"俺、あの日からずっと【NOW】の打ち上げやってる気分なんですよね……”って言葉、めちゃくちゃ覚えてるわ(笑)」
ジミー「それ俺も覚えてます(笑) 僕は昔からアサミからせだいを教えてもらって、ハセ・コーやシゲとうちで聴いたりもしていました」
ハセ・コー(Gt)「鍋作りながら聴いてたよね」
ジミー「そうそう。そこから対バンする回数も多くなり、一緒によく遊んでましたね」
佐久間「僕とヌマジリは、天王町のスタジオオリーブで行われたyubioriの初自主企画を観に行ってたんですよ」
アサミ「わ!圧倒的鈍る皮膚感覚僕を忘れないでよ状態、伝説の初回だ!」
佐久間「そうそう。狭いスタジオでデカい男5人が、すごい壮大な長い曲をやっていたのを観てすごいなと思っていたし、そこから少し経って初共演した時には、それらの音楽性を踏まえてよりポップなところにいっていたのが印象的でしたね。この短期間でこんな風に進化するんだな、と」

タカヤマ リク(Ba)「yubioriの第一印象は、デカいなぁ……怖いなぁ……俺たちって小っちゃいんだなぁ……ですね。ちゃんとした思い出としては、せだいの1stアルバム『Delirium』のツアーの時にはyubioriが一皮どころか百皮くらい剥けていて、すげえなと思ったのを覚えています。コイツら、いくところまでいくな……と思いましたし、憧れを抱きました。俺らはこの背中を追っていくんだろうなと直感的に分かって、身の引き締まる思いをしました」

ハセ・コー「僕は、せだいのライブで初披露の新曲として演っていた「Secondhand Lions」を聴いて、完全に先を行かれてしまったなと思いましたけどね」
アサミ「その日、ライブ終わって速攻帰ってったよね?」
ハセ・コー「そうそう。自分たちのライブがあんまり上手くできなかったのと、その曲の良さに衝撃を喰らったということもあり、悔しくてすぐ帰りました」


ナカノシゲユキ(Dr)(以下、シゲ)「【NOW】は、俺が初めて上裸にさせられた日ですね……。さっき話に出た自主企画「圧倒的鈍る皮膚感覚僕を忘れないでよ状態1」の時に、俺がヒートテックを着てドラムを叩いていたらジミーにめちゃくちゃ怒られて、次から衣装は上裸ね、となってから初めてのライブでした(笑) せだいはAcleでも対バンしていたし、yubioriでも関係を作れたのが嬉しかったですね」
トウジョウハルキ(Ba)「【NOW】は、僕がyubioriに入って初めてのライブだったということもあって、めちゃくちゃ緊張していたから正直覚えてないんですよね……。そこから渋谷LUSHで毎週かのように対バンするようになってからの方が覚えてます」
佐久間「LUSHに限らずだけど、ブッキングイベントも、個人/バンド企画でも、あの頃は本当によく一緒に誘われてたよね」
トウジョウ「そうですね。僕とシゲはAcleというバンドもやっているんですけど、仙台でせだいと一緒にやった時にそっちのバンドでも仲良くなれて嬉しかったですね」

──Acle然り、either然り、それぞれが別でやっているバンドでも親交深いですもんね。
ヌマジリ ユウヤ(Dr)「僕がeitherに入っていた時に、yubioriには企画にも出てもらいましたしね。僕が好きなパンク界隈にもyubioriが受け入れられているのが嬉しいし、誇らしい気持ちです。リプレイスメンツでも、あんなにでっかいステージでお客さんの特大シンガロングを巻き起こしていて、グッときましたしね」
ジミー「そのeitherの企画の日に、お客さんとしてきていたリナさんをメンバーに誘いましたし。僕、毎回ライブいる人に話しかけちゃうんですよ」
清水「リプレイスメンツの時に、トランペットが入ったyubioriを初めて観て、あ……終わった……って思ったもんな」
オオノリナ(Tp)「恐縮です(笑) 実は私はまだせだいのライブを観たことがないので、今回のツーマンで初めてライブを観れるのがとても楽しみです」

──話を聞いていると、せだいとyubioriは、年代も近くて仲良いけれど、互いにリスペクトし合っている関係なんだなと思いました。
佐久間「俺らの1stアルバムのレコ発イベントにも出てもらいましたしね。とはいえ、元々決まっていたバンドがいたんですけど、そのバンドがコロナの関係で出演できなくなってしまい、ジミーに電話して頼んだんですよ。そしたら3時間後にはOKをもらって、安心したし、こういう時に助けてくれるバンドがいて良かったなと思いました。でも、ライブ当日に、ジミーが体調が良くないというアクシデントが起こり……」
ジミー「前日にうんにょんさん達と山登りをしたせいで……!ライブの予定がなかったので山に登っていたんですけど、そこで雨に打たれるわ、ヒルに噛まれるわで大変だったんですよね」
清水「俺はライブの予定あったんだけどね!」
全員「(笑)」

佐久間「そんな中でも、yubioriがキャンセルせずに「せだい、レコ発おめでとう!!」とデカい声で言った後に一発目に「雪国」を演奏したのを観て、ああ、俺こいつらと友達で本当に良かったなと思いました。それまで、誰かのライブを観て感動して泣くことが一切なかったんですけど、涙流して感動したのはあれが初めてでしたね。今でも思い出してうるっときちゃうもんな」
トウジョウ「まあ、その時俺はいなかったんですけどね……」
アサミ「そうだ!トウジョウが夜勤で出れなくて、ドラゴン(kurayamisaka)が代わりに出てくれたんだ」
ドラゴン「その時、ジミーもハセ・コーもいなくて、3人でスタジオ入ったよね」
ジミー「マジでごめんね!yubioriの1stのレコ発でも、せだいに出てもらいましたね。それも割と急なオファーだったかも。だからおあいこだね!(笑)」
──でも、その時期を超えてからはあまり対バンをしなくなったと聞いていますが、どうだったんですか?
アサミ「お互い1枚目のフル・アルバムを出すタイミングが近かったということもあり、一緒にツアー回ろうよってことで、なんやかんや一緒にやってたんです。でも、その翌年くらいからパッタリなくなりましたね」
佐久間「お互いやる場所や環境が変わってきたのかもしれないね。でも、お互い同じタイミングでアルバムを出した中で、yubioriの方がファイナルの規模感も含めて上だったんです。そこで差が付いちゃったなと感じた節はあったので、少なからずの悔しさはありましたね」
タカヤマ「まあ、俺らの1stのツアーの回り方もおかしかったけどね。東京、横浜、東京、東京って(笑)」
佐久間「しかも大阪は2回行って、連日じゃなくて1週間置きだったしね」
清水「あれはマジでおもろかったな~、今考えると意味分からないもん(笑)」
タカヤマ「まあ、yubioriがハネるのは想定内だったので、当時から見習うことが多いなと思ってますね。yubioriは1stフル・アルバムのファイナルも時速36kmとのツーマンで、ストーリー性があったし」
──yubioriとしては、そういった「yubioriは上にいっている」という評価に関してはどう感じている?
ジミー「ライブが上手くいった時には俺らいいじゃん!と思いますけど、それ以外は普通に”俺ってなんてダメな奴なんだ……”って思いますけどね。毎日朝起きて、俺って歌下手だな、曲も作れねぇしバンド辞めようって思うし。でもそれは俺個人の話なので、バンドがどうこうって訳ではないですけどね。でも、せだいに関しては、今でもずっと事あるごとに聴くし、ゲンソウさんの歌も上手くなったなと思います」
佐久間「ありがとうございます」
ジミー「でも、俺が好きなゲンソウさんか?って言われたら分からないけどね!俺は厄介なファンだから」
清水「ジミーはボイトレに通っている人のことを軽蔑しているからなぁ」
ジミー「頑張って頭使って歌えば自力で上手くなれると思ってるから!」
佐久間「喉を壊してしまったこともあるからそうせざるを得なくなってしまったけど、ジミーのその美学はとても分かるよ」

ジミー「個人的に、今回のアルバムに入っている「bandwagon」という曲がとても良いと思っているんです。リクさんやうんにょんさんが作る曲ももちろん大好きなんですけど、やっぱり僕はゲンソウさんが作る曲が、僕が思う”せだい”なんですよね。素朴というか、優しい感じがする曲。それを、特に何がある訳でもない朝にふと聴きたくなる時があるんです。それを聴いて、ああ、今日も頑張ろうと思って出勤する。それは、バンドに対してどうこう思うというよりは、純粋に曲が良いなと思うからなんですよね」
佐久間「そう言ってもらえるのは嬉しいです」
──せだいとしては、このタイミングでyubioriとツーマンを行うことは前から念頭にあった?
佐久間「いや、それがそういう訳でもないんです。実は、昨年11月に「四季-momiji-」というサーキットイベントを行ったんですけど、そこにもyubioriを誘っていたんですよ。その時に、ジミーに開口一番に言われたの"それっていっぱい出る系ですか?”で……」
ジミー「ははははは!やば!!(笑)」
佐久間「まあ、想定内の返答ではあったし、yubioriとはここまでの歴史を鑑みた上でツーマンでやろうという話に落ち着いたので、きっかけとしては良かったですけどね。ジミーのわがままに感謝です」
ヌマジリ「でも、メンツ解禁した後に、eitherの企画でyubioriに出てもらった打ち上げで、ジミーに「やっぱ出たい」って言われたんですよ(笑)」
全員「(笑)」
アサミ「ブレブレやん(笑)」
ジミー「もう遅いって言われました(笑)」
──ははは!その話、人間らしくていいなぁ(笑)
ハセ・コー「でも、そのサーキットイベントにはAcleも出ていたからダブルヘッダーになるメンバーもいたので、僕個人としてはせだいとやるなら万全な状態でやりたいと思っていたし、結果的には良かったと思いますけどね」
アサミ「半端な感じではやりたくないもんね」
──無事にファイナルもソールドアウトもしましたしね。
佐久間「ありがたいですね。自分たちを気にかけてくれている人が想像以上にいてくれたということで、本当に感謝です」

──yubioriの皆さんは、せだいの『Underground』を聴いてどうでした?
シゲ「レコーディングしている時に、期限が迫っているのに曲が作れない……と切迫していた状態のを見ていたんですけど、蓋を開けてみればあの心配はなんだったんだ?というくらいの仕上がりになっていたので、流石だなと思いましたね」
清水「いや、マジでハゲそうだったんだって……」
ジミー「俺、リクさんが作った「feel again」も好きですよ!イントロのギターがかっこいいっす」
タカヤマ「あれはゲンソウが考えたフレーズだね。レコーディングで言うと、yubioriがクリック聞かないで一発録りしているという話を聞いて、後半のテンポチェンジのところは、クリック無しでやったんだよね。せだい自体が、事前にギターのライン録りをした上でやるのが通常だったんだけど、今回はyubioriの影響を受けてそういったチャレンジもしてみたところはあるなぁ」
ジミー「そっちの方が楽しいですよね。一人でやるより、みんなでやる方が面白いし」
佐久間「時間に追われていた分、焦燥感や疾走感は今まで以上に出ている作品になっているよね」
清水「本気で焦っていたもんなぁ」
佐久間「『Delirium』のレコーディングはかなり細かく決めていったんですけど、今作はメンバーに任せる部分も増えたし、信頼が目に見えている気がします。4人それぞれの個性がより出ているアルバムだと思います」
ジミー「リクさんのコーラスもいいですよね。あと、成長という面で言えば、ぬまっちですね。ライブを観ていても、バンドがやりたいサウンドにドラムが乗り切れていないんじゃないか?と思うタイミングがあったんですけど、今回はむしろドラムが引っ張っていってる感じがする」
ヌマジリ「単純に、eitherに入ったことでより場数を踏んだのが大きかったのかもしれないですね」
清水「ゲンソウがドラムが出来るから、ぬまっちへのリクエストが多かったしね」
シゲ「だって、ヌマジリさん、ゲンソウさんの話聞いてメモ取ってましたよね?」
ジミー「研修か?ってなったもんな(笑) でも、俺も今それリナさんにやってるわ」
清水「ジミー怖い?」
オオノ「……たまに?(笑) 怖いというより、意図を汲み取るって難しいなぁとは思いますね」
清水「でも、そういった指示を受けた中にでも、やっぱりヌマジリの個性というのはやっぱり出るんですよね。サウンドのこだわりがあるし、ピッチの調整もバレないようにスルッと色々やってたりする。そういった歪さが良いし、せだいらしさだなと思います。ゲンソウは割と普通のことをやらせようとするし、ヌマジリもそれをするんだけど、そこに宿る個性が凶悪にさせるっていうバランスが良いなと思います」
ジミー「分かる。俺も、シゲには普通のことをやらせようとしてますもん」

──yubiori側が、せだいの方法を持ち込んだりもしているんですか?
ジミー「してますね。iPhoneのボイスメモでドラムのプリプロを録ったのは参考にしました。シゲの粗い息遣いがめちゃくちゃ入ってる(笑)」
ハセ・コー「せだいはライバルというよりは先輩だと思っているので、個人的には真似をしたらダメだなとは思ってます」

──せだいとyubioriは年齢や活動界隈も近いけど、そこで次第に生まれてくる馴れ合いのような状態は意識的に避けてた?
ジミー「まあ、仲間内感は少なからず出ているとは思うんですけど、今それぞれのバンドを好きでいてくれている人はそれをあまり知らないと思うし、正直考えてないです。仲良い友達だとはもちろん思っているけど、馴れ合うような関係だとは今も思っていないです」
佐久間「バンドやって友達ができること自体が楽しかったから、周りにどう見られているかは特に考えてなかったですね」
ハセ・コー「音楽性とは違うんですけど、年齢が近くて、ジャンル的にも近しいバンドで、働きながらバンドをやっている人って少なかったんですよ。なので、それをやっているせだいの姿を見て、自分たちも頑張らないといけないなと背中を押してもらう存在でしたね」
ジミー「それはめちゃくちゃ分かる。年齢や活動拠点も近くて、同じマインドで音楽やバンドと向き合っているせだいがいてくれて良かったなと思いますし、幸せなことだなと思います。今はまだまだだけど、これから俺たちで、シーンとは言わずとも、現行のギターロックバンドによる、何かしらのムーブメントを起こしていきたいと思っていて、それをやる上で、せだいは最も重要なバンドだと思ってます」
佐久間「自分たちがそういう存在になったり、現役バンドとしてムーブメントを起こしていこうという意識は、僕はあまり持っていないんですよ。シンプルに自分たちが好きなことをやっていくとう信念を持った上の行動の先に、そう言った動きが起こることはもちろん構わないんですけど、自発的に何かを起こしたいという気持ちは正直ないんです」
ジミー「それもかっこいいと思いますよ。でも、俺は自己評価が低いように思っちゃう。せだいは、東京のギターロックの中心だと思っているので」
佐久間「それは嬉しいね。でも、そういう評価をしてくれるyubioriが近くにいてくれるのは心強いなと思うよ。「bandwagon」に関しても、実はジミーに影響を受けて歌詞を書いたんです。以前ジミーに、"何のためにバンドをやっている?"って訊いた時、彼は"友達のため"と即答したんです。その言葉を聞いて、いいなぁと思ったし、自分の為だけではなく、もっと近い人の為に音楽をやってみてもいいんじゃないか?と気付かされたんですよね。そのマインドは、yubioriに影響を受けてますね」
ジミー「それは伝わってきましたよ!俺は自分のために曲を書けなくて、友達元気かな?って気持ちで書くと良い曲が書けるんですよ。だからそういう風にやってます」
──今までは内に向けた曲が多かった中で、外を向く曲を書いたという変化ってかなり大きいと思うんですが、そういう話はバンド内でするんですか?
佐久間「いや、全くしないです」
清水「せだいって、バンドをやるために集まったんじゃなくて、友達がいっせーのせ!で音を出しているだけなんですよ。だから、目的が結構違うんですよね。俺個人的には、バンドとしての目標はなく、いい音出しながら、いい曲作って、バンドが進む過程を楽しみ続けていたいんですよね。その過程の中で、さっきジミーが話してくれたように、yubioriのように、俺たち自身が感じている以上に、俺たちのことを信じてくれる友達や仲間が増えてきたことが、やっと外向けの曲を書けるようになったきっかけなんだと思います。今回のアルバムを作るのにも、正直めちゃくちゃ借金したんですよ。でも蓋を開けたらちゃんと返せる額が手元にある状態になれて、冗談抜きにすごい自信になりましたし、これができるなら、次はもっと時間かけて良いアルバムを作れる!って思ったんですよ」
佐久間「これは本当に、ひとえにお客さんのお陰ですね。音源を買ってくれる人、ライブに来てくれる人、気にかけてくれる人、皆さんの力のお陰です。今回、ツアーで地方に行っても、せだいを観に来てくれる人が着々と増えてきていて、それがすごく励みになってます。今回のファイナルもですし、それ以降の活動でももっといろんな場所に行って、色んな人にせだいの音楽を届けたいなと思っています」

写真:のとかずき(Xアカウント:@notoshi39)
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◾︎せだい
2018年結成、大井町発。00's国内ロックバンドから脈々と続くようなサウンドに振り絞るようなしゃがれ声と哀愁が爆発する4人組。(Xアカウント:@sedai_band)
◾︎yubiori
横浜にて結成された6人組バンド。人と人が関わり合う生活の中で湧き起こる感情を、エモーショナルに歌い掻き鳴らすギターロックバンド。(Xアカウント:@yubiori1)
