峯岸利恵の音楽手帖

好きな音楽や日常にまつわるあれやこれやそれです

tetoteワンマンライブ「溢れて、零れて、落ちた」ライブレポート(2024.3.7)

 

荒川大地(Gt)と、しば(Vo)による、エレクトロニカユニット「tetote」が、3月7日に東京・高円寺HIGHにて、ワンマンライブ「溢れて、零れて、落ちた」を開催した。本公演は、1部「溢れる」と2部の「零れる」の2部構成で行われ、オープニングアクトには一寸先闇バンド(ラボ)が出演し、yukako(Hello1103)によるVJと共に、確立した世界観を作り上げた。

 

1部「溢れる」は、しばの「みんな、宇宙船に乗ってたった一人、この星まで来たんだね。今日は存分に話をしよう!」との呼びかけに続くように鳴らされた「my universe」で幕を開けた。ループされるゆったりとした電子音が浮遊感を生み出し、ふわふわと揺れる水面を彷彿とさせるしばの歌声が自由に泳ぐ。後方のスクリーンには、生命の起源を想起させる映像が映し出される。この日、入場者に配布されたパンフレットには、「私たちの生命は空から溢れて落ちたものである」との言葉が記されていたが、そうした神秘性を随所に感じることができる演出と音楽に、オーディエンスは早くも没頭している様子だった。リズミカルな儚い鍵盤の調べが優しさと繊細さを寄与する「アイスクライマー」では、青い照明に照らされながら、人への愛を説く。自我と意志を持つ前に、この世に生を受ける不思議さや、命とは?自分はどうして生まれてきたのだろうか?自分とは何者なのだろうか?という、人間の根源的ロマンや命題に優しく問いかけるような楽曲を次々と披露。

 

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「THE WORLD IS MINE」では、「誰にも邪魔されない世界で、あなたが、あなたらしく生きれますように」と語りかけつつ、同じ時間の中を別々の歩み方/歩幅で生きていく人間同士の出会いや繋がりを軽やかに歌っていく。踊るように歌うしばの声を支える、荒川が生み出すビートは、人間の脈動のような心地良さと、生命力を感じる力強さを内包していて、エレクトリックだけれど、温かい。しばはこの日、声が掠れてあまり出ないと話していたが、それを優しく支えるような荒川の頼もしさも同時に感じ、「人と人が互いに支え合って生きること」をそのままこのライブで表現しているようだと思った。

 

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 そして、軽快なリズムと荒川の流線美しきギターフレーズとポエトリーリーディングがそれぞれ手を取るように絡み合う「空間飛行」と、未踏の森の奥地に迷い込んだかのような感覚をもたらす「パラレル」へと続け、1部の終幕を彩る「まぼろし」へと誘う。隣から居なくなってしまった人、もう会えなくなった人──誰しもに身に覚えがあるであろう喪失感を慈しむように、淡々と、哀しげに、それでいて時に熱情的に言葉を繋げていく様は、息を呑む美しさだった。

 

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心地良い充足感と余韻を残し、しばしの休憩を挟んで行われた2部「零れる」では、荒川としばの二人が白を基調とした衣装に身を包んで登場。親交のあるバンド・キンヨウノヨルのsayuriによる作品とのことで、このエピソードからも、2部のテーマの一つでもある「人との繋がり」を感じ取れた。生きていく上でどんどんと増えていく人との関わり。その数だけ得るものもあれば、迷いが生ずるものでもある。そうした自我に問いかける2部の始まりを告げたのは、「あこがれ」。このままではいけない。自分でない誰かになりたい。そうした、なりたい理想像があるからこそ生まれる羨望や葛藤を歌っていく。けれど、そう思えるということは、つまり自分が望む人間になるためにすべきことは明確化されているのだと思うし、旅先の景色を共有し合う写真が投影されたスクリーンを背に、遠方にいる友人への想いと憧れを歌った「萌葱」もまた、「自分が自分で在るために大切にしたいもの」の大事な要素なのだろう。人は、人間になるためには、人と人との関わり合いが必要不可欠であるんだという命題を、様々な楽曲に乗せて伝えてくれる。

 

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そこから、赤い照明の中、高揚したテンポでパワフルに鳴らされる「死なない心」や、雲間から差し込む月光のような優しさと温もり感じさせるバラード「夜と手を繋ぐ」、しばが紡ぐ英詞が豊かに泳いでいく「街燈」へと続け、柔和な雰囲気を作り上げていきつつ、電子音とギターサウンドがクールに融合する「fools」では一変、クールな空気感を生み出す。

 

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「恋は盲目」とスタートした「痺れ」では、恋愛における甘さと、欲望故のざらっとした質感を表現。そしてこの日の最後を締め括ったのは、「drink me」。浮遊感たっぷりの音の中、とろけるような酩酊感を醸し出し、オーディエンスを心地良さで満たして、二人はステージを去った。自分が生きていくこと、人と生きていくこと、繋がること、自立すること、与えること、与えられること。生を受け、死を迎えるその瞬間まで、絶えず繰り返されるサイクルを改めて考えさせてくれる、優しくて、慈愛に満ち溢れた一夜だった。

 

tetote Xアカウント:https://x.com/tetote888?s=20

写真:Mayuko Takeuchi

 

 

【2022.06.24】SonoSheet×RIDDLE×THE SENSATIONS

2022.06.24(金)

『GALES』

▼SonoSheet

▼RIDDLE 

▼THE SENSATIONS

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この3マン、個人的にマッッッッジでめちゃくちゃ楽しみにしていた企画でした。

自分が大好きなバンド、かつ、バンド同士が繋がっていそうで繋がっていない、さらに、ジャンルとしてもド被りしていない。でも、対バンとしてライブをしたら、最高の相乗効果をもたらしてくれる……というストーリーの下、お誘いをしました。その結果、イベントとしても最高のものになった実感があります。そうした私の意図を汲んでくれた上で、こちらが抱いていたK点越えの期待の、更に上の上を越えるライブで応えてくれた3バンドに、最上級の感謝を!!!

 

▼SonoSheet

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イベントのトップを務めてくれたのは、宇都宮から来てくれたSonoSheet!Hi-STANDARDASIAN KUNG-FU GENERATIONBEAT CRUSADERSを始めとする90年代バンドから、メロコアバンド、渋谷系パワーポップといった様々なジャンルから影響を受けているメロディ。胸がキュッとなる切ない歌詞。それでいて、いつだって全力投球!という感じの、見ていて清々しい気持ちになるくらいにパワフルなステージング。好きにならない訳がないような要素がてんこ盛りの、音楽大好きバンドがSonoSheetです。この”音楽大好き”というのは、曲の中にも様々なオマージュが詰め込まれているところからも勿論感じるし、ユウキくんに至っては、開場前に話していた時にずっと「キャプヘジ(CAPTAIN HEDGE HOG)のSHELTERのライブ行きて~!チケット取りたいけど、イープラス使わないから分かんねぇ~!!」と言っていました。分かるよ、その気持ち。普段取り置きメインだもんね。

そしてこの日も、初っ端からツービート全開で、会場の熱気をググっと上げつつ、更に新曲まで披露!これまたブチ上がり系のパワーチューンで、自然と拳が上がった!「宇都宮には、パワーポップの文化もあるんだ!」という一声からの新曲披露など、ロングセットならではの緩急の付け方で楽しませてくれました。今回のイベントについても、RIDDLEとTHE SENSATIONSという大先輩バンドへの敬意を伝えつつ、「ジャンルの垣根を越えて、自分たちらしさを突き詰めているバンドだと思っています」と伝えていました。それはSonoSheet自身にも言えることで、ジャンルに拘らずに、自分が好きな音楽のエッセンスをどばどば注ぎ込みながら、その上でしっかり自分たちらしさを作り出しているバンドがSonoSheetだと思っています。めちゃくちゃいいライブをありがとう!!!

 


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▼RIDDLE

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2番手は、埼玉県北浦和のメロディックハードコアキング・RIDDLE!!峯岸利恵という人間のことを少しでも知ってくれている方であれば、自分のイベントにRIDDLEを呼べたことへの感動がどれほどのものだったかは分かって頂けるかと思います。興奮で全身の毛穴から血が出るかと思いました。

RIDDLEは現在サポートドラマーを迎えて活動していますが、この日のサポメンはFILTERのアキラさん!鬼バリダイナミック多幸感ドラミングでお馴染みのドラマーです。そんな4人でのライブ、マーーージで格好良すぎて昇天寸前でした。

神ハーモニー&スピード王こと、RIDDLEの真骨頂。アクセル踏み続けてキンコン鳴りっぱなし、そのままコーナーに突っ込んでスリリングさを出しつつ、華麗なブレーキングが魅せる優しさ溢れる緩急が心を揺さぶる――という峠攻め的セットリスト。しかも、この日は今年一発目の「Reach to the horizon」を演ってくれて、さらに「Another wish,another future」を繋げてくれたんですよ……この組み合わせが好きすぎて、ホライズン終わり即サムタイ待ちフライング拳上げムーブかましちゃう。

この日を含めて、RIDDLEのライブを観る度に、どうしようもないほど憧れを抱きます。そう思わせてくれる理由は、RIDDLEというバンドの中にある、絶対性と柔軟性。売れる/売れないという現実問題もあるけれど、それ以前に「己が己を誇れる音楽を」という、オリジナルに対する揺らがぬ絶対的精神。その上で、新しいことに対しても自ら飛び込んでいく自由さと柔軟性。それらは対極にあるように見えるけれど、反発するものでは決してなく、むしろ共存させていかないといけないものだと思います。でもそれをしようとすると、めちゃくちゃ難しい。だけどもRIDDLEは、そのバランスを保ったまま、活動19年目に突入しているのだから本当に凄い。昔の曲ももちろんだけれど、去年リリースされた「RED」がはちゃめちゃに格好良くてほんっとに大好きなんですよ……。

 


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ツヨツヨリフ&グッメロ職人。

7月には20年目突入ですか……!格好良過ぎる。今までも、これからも、マイスーパーヒーローです。

 

▼THE SENSATIONS

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そしてそして、今回のイベントのトリを務めてくれたのは、THE SENSATIONS!!!サイコーでした!!!!ノれて踊れて飲めて騒いで、締め括りにこれ以上ないっていうほどのハイパーエネルギッシュなサウンドをぶちかましてくれました。

ボーカルのOSAWAさんには、I HATE SMOKE RECORDS代表としてソロインタビューをさせてもらったのですが、そこからご縁があって、THE SENSATIONSとして出てもらうことになりました。めちゃくちゃ嬉しかった!

パンク、スカパンク、ハードコアを主軸に、50’s~60’sソウル、 R&R、などなど、様々なエッセンスを取り込みつつ、超絶気持ち良いTHE SENSATIONSオリジナルのハイテンションチューンに仕上げるバンド。頭空っぽにして、ビールが溢れるのも気付かずにハイになって踊りまくるのがサイコーの楽しみ方です(フロアの床を濡らしてごめんなさい)。とはいえ演奏は、めちゃくちゃタイトで超痺れます。矢継ぎ早にどんどん曲が続いていくのですが、それでも窮屈さを感じないのは、メロやメンバーのソウルに宿る遊び心が故でしょう。こうじゃなきゃいけない、とか、こっからこう展開していくのが無難だとか、そういったルールではなく「自分たちがやっていて楽しいか?」が全曲軸にあるが故の面白さが、THE SENSATIONSサウンドの醍醐味だと思っています。ライブでは、そこにサプライズが加わって、こっからどうなる!?というワクワク感がプラスされて、ハイになれる。そういうライブの楽しさを提示してくれるバンドだと、この日も感じました。まさに「STAY YOUNG」!一生衝動的でありたいと思わせてくれるライブでした。


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改めて、SonoSheet、RIDDLE、THE SENSATIONSの皆さん、来てくださったお客さん、友達、ライブを作り上げてくれた吉祥寺 WARPのみなさん、本当にありがとうございました!!!

次またやる時はちゃんと集合写真撮らせてください!!!(大失態)

 

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【打ち上げ小噺】

出演者の皆さんが机を囲んで着席して、開始早々何を始めたかと思ったら、色んなアーティストの人気ナンバーワン楽曲を当てるゲームをやってました。放課後かと思った。

 

【2022.06.19】LAGITAGIDA×背前逆族×GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE

 

2022.06.19『爆音狂演』

▼LAGITAGIDA

▼背前逆族(ex.うしろ前さかさ族)

▼GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE

 

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今回のイベントは、敬愛するGREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE(通称グリンミルク)に出演してほしい!と懇願し、OKを頂いたことがスタートでした。そこからメンバーの皆さんに相談していく中で、ふと「対バンでLAGITAGIDAはどう?Aちゃん、ダブルヘッダーだけど!」という流れに。いやいや、それが実現したら最高ですけど、流石に体力的にもキツいですよね~(チラッ)とお伺いを立てたところ、体脂肪率8%、鋼の肉体を持つ最強狂犬ドラマーAさんからさらりと「いいよ」とのご快諾。夢かと思いました。漢気が過ぎます。その後、LAGITAGIDAの皆さんも「面白いじゃん!」と賛同してくださり、夢の対バンが実現となりました。

さらに、その2バンドと一緒にやって頂くバンドで、このイベントが持つ強烈さに引けを取らず、己の道を突っ走るプログレッシブバンドはいるだろうか?と考えた時に浮かんだのが、パワープログレ/キメラパンクバンド「うしろ前さかさ族」でした。その瞬間にイベントのイメージがバッチリ決まり、もうこれしかない!!と確信。多くの人のご協力のもと、イベント開催に至りました。ちなみに、この3マンが決まった時に、瞬時に「爆音狂演」というイベント名は決まりました。振り返っても、まさにこの4文字の通りのイベントになったと思います。リハから音のデカさが尋常じゃなかったですし、数分聴いただけで耳鳴りがして思わず笑いました。

でも、爆音といえど、ただ単に驚かせるとか迫力を出したいからという訳ではなく、その音量も含めてバンドの音楽表現であることをひしと感じるもの。興奮を掻き立てると共に、全身を預けられる安心感を抱けためちゃくちゃ気持ち良い時間でした。たまらん!

 

▼LAGITAGIDA

イベントのトップバッター・ LAGITAGIDA。先ほどリハでの話をしましたが、その時からダントツの爆音をかましていたのはラギでした。最高。ラギはハイパーテクニカルプレイヤー集団で、演奏がエグいくらい上手い。凄すぎて笑っちゃう。変拍子だけれど安心感があるが故にこちらは身構えることなくノリノリになれるし、キメのやテンポが切り替わるタイミングでフロアから歓声が上がるのですが、ソロの時なんかはもう、心酔しちゃって全員棒立ち状態。さらにラギの何が凄いって、超濃密かつ超絶妙な演奏なのに、自由度のあるライブをするというところ。ポイントポイントでメンバーが顔を見合わせながらコンタクトを取っている時も、笑顔なことが多い(「あ、今やっちゃったっしょ?」的な笑みも含めて)。あのプレイ中に笑える余裕があることに驚きでもありますが、そういう空気感があるからこそ、ドラマティックな展開が際立つし、タイトさと緊迫感だけでオーディエンスを圧倒する演奏にならないのだと思いました。でも絶対にダレないという、天才的バランス。あまりにも格好良過ぎる!!!!今年から約2年振りに活動を再開させたとは思えぬスーパープレイの数々、堪能させて頂きました。

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▼背前逆族(ex.うしろ前さかさ族)

2番手を担ってくれたのは、ツインギターでの5人編成&バンド名表記変更で、心機一転の気合を見せるパワープログレ/キメラパンクバンド・背前逆族。「パワープログレ/キメラパンクって何だ?」と思われるかもしれませんが、ライブを観たら一発でその意味が分かります。むしろ、そうとしか表現できないとすら思う。ボーカルの関口マーフィーさんが歌う歌詞は、ライブではほぼ聴き取れないですが、「このバンド、なんかヤバい」という空気は一瞬で伝播。関口さんの前は、まるで花道かのように人がおらず、その空間をめがけて躊躇なくフロアに降り、転げまわり、観客に近づき「パンクロックとは何ですか?」「劇団四季とは何ですか?」と質問を投げかける。そして、ステージに戻り、爆音の中で見悶えながら絶唱。この通り、彼らのライブは狂気的で奇怪で、おどろおどろしい。けれど、めちゃくちゃグッとくる。人生の中で自然発生する鬱屈混沌とした感情と、その果てに起こる暴発。そこには美しさが間違いなくあるし、あまりの凄まじさに途中笑ってしまったけれど、めちゃくちゃ胸打たれました。そして超絶変拍子の大運動会的楽曲たちなのに、演奏がめちゃくちゃ上手くて流石でした。グリンミルクのKさんが「魔界で生まれたゾンビみたいだった」と評していましたが、誰しもの心にある混濁した想いを音楽表現してくれるバンドです。あなたの中にもきっとそれは潜んでいる……。

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▼GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE

イベントのトリは、GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGE!2019年のアメリカツアー振りに演奏したという未音源化楽曲「Tragedy Overground」からスタート。ちなみにこの曲、25分あります。長いと思われるかもしれませんが、そんなことを全く感じさせないほどスーパードラマティックな楽曲です。私自身、この日初めて聴いたのですが、一番好きな曲かもしれない……。じっくりしっとりと聴かせた後に、ドドンパの如く一気に加速!その先でまた落ち着いて、最後はもうドッカンドッカンにブチ上げるという、ジェットコースターロマンス的楽曲。ここでAさんの表情を確認してみましたが、何らいつもと変わらないハイパーパワフルドラミングでバンドを牽引していました。凄すぎてなんかもう怖い……。でもそのストイックさは、バンドにも言えることで、限界の限界まで追い込んで、それでもまだ走り続けるという、極限のその先まで這いつくばりながら追い求めるバンドがGREEN MILK FROM THE PLANET ORANGEだと思っています。まさに昭和の部活、ブレーキの壊れた暴走列車。この表現、しっくりき過ぎる。そんなバンドだからこそ爆発的な熱狂を生むのだと思うし、この日もこちらが抱いていた期待の1000倍増しでトリという大役を務めてくれました。日本のプログレッシブロック界を担う、唯一無二の最高にアツいバンドです!!プログレッシブロック!!!

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そして、ライブ終了直後のAさんの様子はいかに……。

 

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超元気!!!!!!参りました!!!!

 

有難いことに年一でまたやりたい、という話もありましたので、乞うご期待!

LAGITAGIDA、背前逆族、GREEN MILK FROM THE PLANET ORANGEの皆さん、来てくださったお客さん、本当にありがとうございました!!

 

【担当記事一覧】2022年版 ※随時更新

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【インタビュー】I HATE SMOKE RECORDS 設立15周年記念インタビュー

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今年で設立15周年を迎えたインディーレーベル、I HATE SMOKE RECORDS。「煙のように時代に流されるのではなく、確固たる意志とスタイルを持って音楽を向き合っているアーティストの作品を出す」をモットーに、これまで数多くの作品を世に放つ手伝いをしてきたレーベルだ。そして今回、15周年という記念すべきタイミングで、主宰のOSAWA17さんにインタビューを実施!2006年からスタートさせたレーベルでの、今までのこと、これからのこと。THE SENSATIONSなどでバンド活動も行っているOSAWA17さんの15年について訊いた。  

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――OSAWA17(以下、OSAWA)さんがレーベル業を始めたきっかけは何ですか?  

 大学4年生の時に、単位も取り終わって暇だし、レーベルでもやってみるか!というテンションで始めました。当時、UNITED SKATESというバンドを組んでいたんですけど、僕らの世代より少し上の先輩で言うと、STEP UP RECORDSやSTIFFEEN RECORDS、Justrock Recordsといった、もう第一線でバリバリ活動しているバンドが多くいまして。 僕らもそういったシーンに食い込みたいけど、まだまだペーペーバンドが故に全く相手にしてもらえなかったんです。だけど周りにはカッコイイと思えるバンドも沢山いたし、じゃあ自分でレーベルを立ち上げて、まずはコンピでも作ってみるか、という考えに至りました。今でこそ店舗流通をするハードルは下がりましたけど、その頃はTOWER RECORDSHMVに音源を取り扱って貰うっていうのがかなりハードルが高くて。でも、やるからにはそういうところにも取り扱いしてもらえるようになりたいと思っていました。 

――でも、いきなり個人でレーベル業務を行うというのは、知識的にも金銭的にも、かなり大変だったんじゃないですか?OSAWAさんは学生だったということもありますし。 

大変でしたね。2006年に、ディスクユニオン内のDiwphalanx RecordsからUNITED SKATES の1stアルバムをリリースすることが決まったんですけど、その時に担当してくれた方にレーベルのノウハウを教えてもらったんです。プレスのやり方から歌詞カードの印刷方法に至るまで、制作業務についての知識が全くなかったですからね。服やCDといった身の回りの物を売りながら資金を捻出して、パソコンも買い替えて必要なソフトも入れて……なんてことをしていたら、金はめちゃくちゃ飛びました。 

 ――そうですよね……。その後、レーベル第一弾となるコンピレーションアルバム『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!!』をリリースした時には、継続的にレーベル業をやってみたいという意欲はあったんですか? 

『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!! 』は1000枚作ったんですけど、1か月くらいで手元にあった在庫がなくなったんですよ。そこに何か手応えを感じたというのもありますし、当時一緒によくやっていた yellow gangというバンドも「俺らもアルバムを出したいと思ってるんだよね」と言っていたタイミングもあり、「一緒にやらない?」ってことで、そのまま2作目が決まったことも続けるきっかけになりましたね。 

――リリース後に変化はありました? 

『Change The Dance Floor Into The Mosh Pit!!!! 』の反響が、思っていたよりも大きかったんですよね。UNITED SKATESのツアーで各地に行くと、コンピをきっかけに僕らのライブに来てくれた人もいたし、そこでレーベルの面白さを実感しました。 

――ライブ現場で気付くというのは、バンドマンだからこそ得られた実感ですね。 

バンドをやらずにレーベルだけやっていても、バンド側の気持ちが分からなくなっちゃいますしね。ツアー中にカッコいいバンドに出会うこともあるので、バンドもやりつつレーベルも運営していくスタイルで良かったと思います。当時は、日常的にMyspaceやPurevolumeなどで音源をアップしているバンドをチェックして、片っ端から音源を買って、気に入ったら連絡したり。ツアーでその人たちの地元に行った時に一緒にライブをやって、そうしてできた繋がりはめちゃくちゃありました。I HATE SMOKE RECORDSでは、年末に30組くらいのバンドに参加してもらうコンピレーションアルバムを作っていた時期があったんですけど、そこに参加してもらうバンドは、各地で一緒にやったり、出会ったバンドですしね。 

――やっぱり、実際に一緒にライブをやることで感じるシンパシーを大事にしているのでしょうか? 

それは大きいですね。音源だけで判断することは、ほとんどないです。あとはやっぱり、昔堅気かもですけど、一緒に話したり、酒を飲んでいて楽しいか、というのは大事かも。一緒に作り上げていく上でお互い楽しめるか?というのはずっと大事にしていますし、そのスタンスは今も昔も変わっていないです。うちからリリースしませんか?と伝えるのって、告白するみたいにめちゃくちゃ勇気がいることで。なので、出会って、きちんと時間をかけて解り合ってからお声がけすることが多いかもですね。 

――I HATE SMOKE RECORDSのリリース作品を見ると、音楽的にはパンクやハードコアの色が強いように思いますが、そこに意図はあるのでしょうか? 

 単純に、自分がずっと聴いてきたのがそのジャンルだからですかね。ネオアコやソフトロック、ギターポップなどポップなものも好きなので、そういったサウンドを鳴らすバンドのリリースもさせて貰っているんですが、そのメンバーも意外にもパンクルーツがある人たちが多いんですよね。 

――へえ!聴いただけではなかなか分からないところではありますが、繋がる部分は確かにあるんですね。OSAWAさんのルーツにはどういった音楽がありますか? 

中学生の時にLUNA SEAをめちゃくちゃ聴いていました。その後にHi-STANDARDGOING STEADYを聴き始めて、そういった音楽に影響されつつ、高校生の時に初めてバンドを組みました。「Salty Pizza」っていうバンドでね、めちゃくちゃしょっぱい過去ですよ(笑)。そのバンドは高校卒業と共に解散後、SEVENTEEN AGAiNやUNITED SKATES〜THE SENSATIONSをやっていった流れですね。


www.youtube.com

――なるほど。先ほど、レーベルに誘うバンドの人間的な相性を重んじるという話がありましたが、これまでを振り返ると、どういう人たちが多いなといった共通点はありますか? 

何かに似ているとか、〇〇っぽい、という表現だけではまとまらない音楽をやっている人たちが多いですね。ただ焼き増しでなく、独自の解釈があると言いますか。ちょっとズレちゃってる音楽をやっている人たちに惹かれますね。あとは、単純に音楽好きかどうかも重要だと思います……でも、性格的にはかなり丸くなったと思います。昔は、似たような音楽をやっている人たちに悪態ついてましたもん(笑)。 

――ははは!若気のなんたら、ってやつですね。そうなると、OSAWAさんの琴線に触れるバンドって少ないんですか? 

好みが偏ってるのでなかなか出会う機会は少ないかもしれないですね。なかなか世間的にはこれは売れる!といったバンドの作品を出してないですからね(笑)。

――でも、レーベルを運営する上では、売れる/売れないってシビアな問題ですよね。

ディスクユニオン内でレーベル業を行っていた時期もあるんですが、その時はもちろん会社なので数字を求められましたし、本当にリリースしたいものだけをやり続けるといった点で一企業に属してやる難しさや苦しさも知りました。でも、ノウハウもある程度知った時に、ひとりで運営するなら企業にいる事で生じる余計な諸経費も極限まで切り詰めながら、もっと自分のやりたいようにやっていけるんじゃないか?と思えたんです。 独立後の数年はレーベルに注力しながら、今では他の仕事の割合も少しずつ増やしていく感じで運営を続けています。 

――レーベルのみで食べていけなくなった理由には、やはりデジタルへの移行は関わってきますか? 

フィジカルの売上だけで言うと、サブスクの影響は大きくあるのかなと思います。でも、サブスクは気になった音楽を気軽に触れられるので、良い入り口になっているなとは思っています。ただ、今ってリリース日当日に全曲配信解禁している方が多いと思うんですが、個人的にそこは疑問に思っています。 サブスクは新しい出会いやお試しの場っていう少し軽いスタンスな認識が個人的にはあって、そこに全力投球する必要ないんじゃないか?と思っていたりします。 それもあって、I HATE SMOKE RECORDSからここ最近リリースしている作品については、アルバム10曲なら、サブスクはその内5曲だけ聴けるといったバランスで解禁しています。 

――今は、曲単位で聴かれることの方が多いとも言いますしね。 

勿論、アルバム1枚を全曲聴けたらそれはファンリスナーとしては嬉しいんですけどね。さっき言った新しい出会いとかお試しを目的にすると、初見の場合アルバム全曲聴けるとしても、なかなか全曲まるっと聴かないと思うんですよ。なので、それならライブでよくやる曲とか、これは絶対聴いて欲しい!といった曲を絞った方が興味を持ってくれる可能性も上がるんじゃないかなと思っていて。まあでも、そこでバンドと意見がぶつかることもあるんですけど(笑)。 

――サブスクをきっかけにして、盤を買うという流れは見えています? 

うーん、はっきり何とも言えないですけど、サブスクで聴いて、ライブを見て、会場で直接買ってくれているであろう人は、ここ最近増えている気はします。 

――OSAWAさんが、盤を出すことにこだわっていきたいと思う理由はどこにありますか? 

その時代にどういうバンドがいて、どういうメッセージを発信していたかを「物」として記録する為、ですね。今年8月にSTARVINGMANの『分厚い壁に小石を投げ続けるep』のCDとレコードをリリースしたんですけど、今作以降、I HATE SMOKE RECORDSからリリースする作品は必ず、その2形態で出そうと思っているんです。

youtu.be

さらに、作品のブックレットを充実させていこうとも考えています。ただ歌詞が載っているだけじゃなく、メンバーによるライナーノーツやインタビューを掲載して、そこでしか得ることのできない情報を載せて、付加価値をつけるといいますか。 

――CDと一緒にレコードを出そうと思ったのはどうしてですか? 

レコードって今の形になって70~80年近く生き残っている媒体で、今もまた盛り上がりをみせているので、今後もレコード文化は無くならないと思っているんです。C Dも現在のメインの媒体だと思いますし。ただ、サブスクはデータなので消えたら終わりですからね。 

――なるほど。OSAWAさんの活動の本質は、「届ける」というよりは「残す」というところにあるんですね。 

そうですね。めちゃくちゃ売れるぞこれ!と、狙ってリリースすることはあまりないですね。その時代の記録係で在りたいという思いの方が強いかもしれないです。でも、続けていれば届くところには届いているんだなということは、15年やっていて感じましたけどね。 

――その実感は、どういった時に感じますか? 

今回、15周年のファンコンピレーションアルバムを作ってもらったんですけど、それをやってもらえたことで実感しましたね。

youtu.be

僕ら世代のバンドを見たり聴いたりして、自分たちもバンドを始めました、と言ってくれていた下の世代のバンドが集まって制作してくれたんですが、めちゃくちゃ嬉しかったです。僕自身も、カクバリズムの角張さんとKilikilivillaの安孫子真哉さんが共同でやっていたSTIFFEEN RECORDSに憧れていて、ああいう風になりたいと思ってレーベルを始めたんです。他にもそういった大好きなレーベルがいくつもあるんですが、自分がいつの間にか誰かに影響やシンパシーを与えたりするようなレーベルに少しでも近づけたんだなと思って。そういうことがあると、レーベルを続けてきて良かったなと心底思いますね。 

――めちゃくちゃいい話ですね。 

自分が憧れていたレーベルに少し近づけたなと思いました。今後の予定としても、今の僕らより下の世代のバンドのリリースが決まっているんですよ。なので、そこから更に下の人たちがバンドを始めるかもしれないですし、自分のレーベルをプラットフォームにして繋がってくれたら嬉しいなと思っています。今って、昔に比べてジャンルの隔てが無くなってきていると思うんですよね。ジャンルレスなライブイベントも増えてきたし、お客さんもそういう固定観念を持たずに、分け隔てなく好きな音楽を聴いているように思いますし。なので、そういう意味ではすごく自由な時代になったと思うので、どんどん繋がっていってほしいですね。 

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I HATE SMOKE RECORDS ホームページ twitter@IHSR

■OSAWA17( THE SENSATIONS / GIRLFRIEND / DANCE MY DUNCE)

千葉県松戸市出身、1984年生まれ。2004年にSEVENTEEN AGAiNのベースを担当し、2005年にはUNITED SKATESを結成。現在は I HATE SMOKE RECORDSを運営しながら、GIRL FRIENDのベース、THE SENSATIONSのボーカルとして活躍中。(twitter: @OSAWA17

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【担当記事一覧】2021年版 ※随時更新

 

閲覧頂き、ありがとうございます。

2021年に執筆をした記事を随時アップしていきますので、

何卒宜しくお願いします!

 

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■オレンジスパイニクラブ×倉本雷大 対談

 

■Absolute area インタビュー

 

 

■藍色アポロ インタビュー

 

Ruby Tuesday 42 ライブレポート

 

■the quiet room 『花束のかわりに』インタビュー

 

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www.red-hot.ne.jp

 

■テスラは泣かない。ライブレポート

 

■Love Music FESTIVAL 2021(2日目)ライブレポート

 

 

■FILTER ワンマンライブレポート

 

■tricot 『暴露』ライブレポート

 

■テスラは泣かない。『MOON』インタビュー

 

Ruby Tuesday41 ライブレポート

 

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■CRYAMY 『CRYAMY-red album-』インタビュー

 

ank 『いききっちゃおうぜ』インタビュー

 

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Ruby Tuesday40 ライブレポート

 

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【担当記事一覧】2020年版

 

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