峯岸利恵の音楽手帖

好きな音楽や日常にまつわるあれやこれやそれです

Unblock『明日の産声』について

 

 

大阪寝屋川出身の3ピースバンド・Unblockが『明日の産声』というアルバムを出しました。発売日前日に購入し、馬鹿の一つ覚えの如く聴き狂っています。

 

youtu.be

 

 

「聴くたびに染みてくる」とか「スルメソング」とか、そんな曲は1曲もないです。

一発です。このアルバムは良い、このバンドは良いと、一発で分かります。

 

Unblockの魅力はそのメロディーの良さと彼ら自身が持つ不器用さだと思っているのですが、それをお話する前に”23”という曲をどうぞ。

 

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この曲のどこが素晴らしいかって、一番最後。

≪いつか語った理想の前で 震える足で立ってる≫

という歌詞。ここです、Unblockといえばここ、もう絶対ここ。

 

人付き合いとか愛想笑いとかそういう類のことが下手な人たちなんだろうなぁと思うし、だからと言って唯我独尊を貫く確固たる意志の強さを持ち合わせている訳でもない。他人や雰囲気に流されるのはかっこ悪い、でも自分が流れを作るなんて実際のところ無理だしヒーローには向いてない。夢を語るのはこっ恥ずかしい。

それでも心のどこかで「自分は何かできる」と信じてる。そうじゃなきゃきっと音楽なんてやってない。

そんなバンドのプライドが、この一節だと思うんです。

 

と、わざわざ旧譜から一曲引っ張り出してきた訳ですが、そこからの今作収録のこれです。

 

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田口くんの青ヒゲはとりあえず置いておいて。というかそれすら愛おしいわ。

≪本当の事を歌うなら 愛に溢れた世界だから≫

この言葉を歌えるバンドになったんですよ。自分自身を悲観して捻くれていた人が、愛という言葉を紡いだ。もう、本当に嬉しかった。親かよっていう心境でひたすら嬉しかった、ああこれが成長かって思いました。

 

全曲に漏れなく仕組まれている「グッ」とくるフレーズの強さや量もまた格段に上がっていますし、第一印象から好きで好きで仕方がない”回想録”に至ってはド頭からの最良メロサビでビリッビリに痺れましたし、同様に‘‘ハイライト”もそう。”生活のこと”のサビ入りなんて毎回鳥肌立つしなぁ。

さらに今作最大の挑戦というか変化を詰め込んだ”行進曲”。これが本っっ当に素晴らしいし、素敵!!!!Unblockからこの趣旨のバラードが飛び出すなんて正直思っていなかったです。

この曲を筆頭に、「僕と君」を歌った曲では未来が見える曲が多くなっているなぁと思います。『明日の産声』なんて未来を見据えたタイトルをつけているのだから当然といえば当然なのですが、きちんと進もうとしているんだなと思いました。ラストに持ってきた‘'答えは風の中”なんて、その意思表明そのものでしょう。

 

ステージに立つ彼らの足は、もう震えてない。代わりに今まで以上に聴く人の心を震わすバンドになりました。

夢を語ることは恥ずかしい、結果に出なきゃ意味がない―――そう思っている人にこそ聴いてほしい、知ってほしいバンドです。

 

前に、前に。

 

 

asayake no atoについて

 

先日、

 

 

というツイートをしたのですが、当初思っていたよりもずっと多くの反響があって「あ、やっぱり共通認識なんだな」って安心しました。

 

京都出身の4人組バンド「asayake no ato」との出会いは”追想と未来”という曲なのですが、聴いたことのない方はこちらからどうぞ。

 

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 率直に言って、素晴らしくないですか?

緩急のつけ方がにゾクっとしません?

 

そして、高身長細身塩顔白シャツスキニー黒髪マッシュ雰囲気イケメンバンドマンの量産により飽和状態になりつつある昨今の邦楽エモロックバンド界の異端児(超失礼)。アサヤケにはルックスの良さでファンを惹き付ける必要なんて一切ないんです、だって曲がべらぼうに良いんだもの!!

 

しかもライブが良い、というより演奏が上手いんです。とても丁寧に演奏するバンドなんだなという印象が強くて、胸にガツンとくるというよりかはずぶっと浸かる感覚になります。

 

ステージの上からというよりは同じ視線、一方的に与えるよりは受け手の為に思慮の余白を残しておきたいという謙虚さが感じられる歌い方、奏で方をしてくれます。歌詞も抽象的なものが多くて、本能的に綺麗だと思える情景が脳内スクリーンに浮かんできます。なんというか、全曲が短編映画という感覚。

 

売れてほしい!というと金目の匂いがアレですが、多くの人に届いてほしいバンドです。

 

 

ふと思いましたが、朝焼けの後って何が見えるんですかね?

 

 

 

Ivy to Fraudulent Gameについて

 

 

昨日の海の日は海に出掛けられなかったので、ネットの海をうようよと泳いで過ごしておりましたが、そこで出会ったこのバンドに手も足も耳も心も引きずりこまれて溺死寸前です。

 

 

youtu.be

 

youtu.be

 

第一印象から好きでしたレベルの音楽なのですが、ただ、ただ…どうしてもバンド名が読めない。トゥとゲームしか分からない。これほど読み方に苦戦したのは、「Czecho No Republic」以来です。

調べたところ【アイヴィートゥーフロウジュレントゲーム】と読むそうですが、完璧に覚えるにはあと10回くらい読み方を調べないといけなくなりそうです。チェコも未だに綴りが曖昧で、変なところに「h」とか入れちゃいますごめんなさい。

あと、検索エンジンで「Ivy」を打ち込むと【Ivy to frau】で検索結果がでちゃう辺りが面白かったです。あ、みんな全文は打たないんだなって思いました。

 

それはさておき。

このバンドの音楽を知ってからというもの、狂ったように聴いております。

わたしはthe cabsというバンドがとても好きでして、イントロの一小節を聴いた瞬間から「これは?」と思ったのは確かです。触ったら折れそうなギターの細い線、さらっとしながらもテクニカルな動きを繰り出すドラム、ここぞというズルいタイミングで艶っぽく入るベースのフレーズ、透明感と少し病みを感じるヴォーカル…どんぴしゃかと。

けれどそんな先入観は結局導入に役立つだけ、先っちょ以降までずぶっと入り込めるかはバンドの魅力次第です。

 

わたしがIvyの音楽に魅了されるに至ったきっかけは、「違和感」でした。

HPに歌詞ページがあったのでこちらに。

http://www.ivytofraudulentgame.com/lyrics/

 

あの一瞬みたいな幸せが
また訪れると信じて 僕、頑張るよ。

【東京】

 

曲自体は精巧緻密で繊細、けれど歌詞には耳慣れた言葉が多く使われているんだなということでした。「東京」の曲中で「頑張るよ」の言葉が出てきた時は少し驚いたくらいです。それこそ私の作り出した固定観念だとは思いますが、歌詞を聴き込むまではもっと文学的な歌詞なんだろうなと勝手に思っていました。そこの違和感に、わたしは自分でまんまとはめられた訳なので結果オーライなのですが。

 

MVから入ってしまったので、今はとにかく早くライヴを観たいという気持ちがいっぱいです。ライヴでまた何皮も化けるバンドなんだろうなという期待を胸に早速調べてみたところ、8月12日にO-WESTでワンマンがあるじゃん…って、ワンマン!?ウエストで?そんなにも高い認知度だったのか…知らなかった自分が憎い…。

 

ここまで読んでくださっている方がどれほどいらっしゃるかは分かりませんが、お勧めのバンドがありましたら無知なわたくしめに是非ともご教授頂ければと思います。

 

宜しくどうぞ。

 

 

 

BIGMAMA 「Weekend Magic」について

 

いやもうどうしても書きたかったので。

 

 

BIGMAMA 「Weekend Magic」

youtu.be

 

単純に感想を申し上げますと、アホみたいに好きですこの曲。

 

わたしがBIGMAMAに抱く愛とか想いとかのその他諸々はこちらの記事( http://remifa.net/music-love/bigmama-mylife)に溢れんばかりに詰め込んでおりますので割愛させて頂きますが、それにしてもとびきり好きな曲ですこれ。

 

<実はここだけの話 君に魔法をかけた>という全身蚊に食われたのかってくらいに痒くなるような甘い台詞、週末だけ恋人になってほしいという願望はあるにしろ12時にはきちんと帰すという背伸びした約束、でもやっぱりこのまま騙され続けてほしいという等身大の欲望、王子ではなく魔法使いという立場

 

普通なら問答無用で毎日恋人にする魔法をかけるところを週末だけでいいという押しの弱さと、毎週懲りずに恋をし続ける図太さ。自分を王子にしない現実味と、いつまでも7日間の関係に夢を見る浮遊感

 

あーーーーーーーーーー、好き
アンバランスなこの感情のバランス最高

 

「ロマンティックなリアリスト」
金井さんが、自分のことを雑誌でそう書かれたと仰っておりましたが、言い得て妙。
BIGMAMAが描く夢はきちんと現実を見せてくれるから、何度見ても醒めないのだと思います。


結局魔法を使って好きな子を振り向かせてもきっと自分が飽きちゃうから。2日間のご褒美の為にどうにか5日間を乗り越えるからこそ、欲しいと思う気持ちが強くなるのではないでしょうか?

言ってしまえばなんてことない平日と土日の話を、こんなにも可愛らしく素敵に表現できるBIGMAMA、ただただ凄いと思いませんか?このセンスに惚れ込んで何年も経ちますが、まだまだザクザク掘れ込めます。

 

夢見がちはたまに痛々しいけれど、現実を見過ぎてもつまらない。丁度良い塩梅で人生に捲き起こる諸々を楽しんでいけたらと思います。

 

MVに関しては、あ、女の子が魔法かける側なんだ?と思いました。(終)

 

当たり前ですが超個人的な解釈なので、煮るなり焼くなり好きにしろってな感じでどうぞ

自分らしさ

 

タイトルを見てSUPER BEAVERが浮かんだ方、共にツアーに行きましょう。

 

はてさて、自分らしさ、ってなんでしょう?

有難いことに言葉遣いが好きだと言ってもらえたり、どうしたらそういう文章を書けるようになるのか?なんて勿体無いくらいの質問を頂戴したりなんかしちゃったりすることがあったりしちゃいます。(至極稀に)

その度に、あの文章のどこがわたしらしいの?わたし以外わたしじゃないの?という気持ちになります。

 

特段本を読むわけでもなく、雑誌を読み漁るわけでもなく、他のライターさんの表現を真似ているわけでも(人様の素敵な表現方法を真似たところで自分の文脈に上手く当てはめられずその部分だけ浮く為)ないです。

 

ただひとつだけ言えるのは、楽曲自体の説明(例えばソリッドとかエッジの効いたとかポップでキュートなセカオワメロディとか)ではなく、「どう伝えればこの曲に興味を持ってもらえるか」ということに重きを置いているなぁと思います。


このご時世、ワンクリックさえすれば好きな時に好きな音量で好きな音楽が聴ける時代です。その指先のワンアクションを起こすために、自分は音楽に対してどんな手伝いができるか?と言えば、「興味を持たせること」以外無いと思うのです。聴いてもらいさえすればそこでお終い。そこからは聴き続けるも止めるも、聴いた本人の判断です。言ってしまえば、わたしは好きな音楽に対してそこまでの手伝いしか出来ないのです。

 

とはいえ、わたしの必殺技である「読み易さに特化した抽象的な文章」が必ずしも良いとは思っていません。例えばディスクレビューならばその楽曲がどういう楽曲なのかを説明することが大前提ですし、わたしのやり方だと解釈を読み手に多く委ねることになるので、「バラードだと思ったのにまさかのツービートかい!」という誤解も生まれかねないからです。必要最低限の情報や事実をきちんと伝えた上で、そこにどれだけ自分の解釈を乗せられるか。

バランスって難しいなと思います。

 

例えば、My Hair is Badの『時代をあつめて』について書いたこちらの文章

 

f:id:negitam:20160713235950j:image

 

曲説明、0。メロディなんてワンフレーズも浮かんでこない。

そういう点では駄作だと思います。そう言われても反論の余地がないです。

 

けれどこういう形もアリなのかな?と最近は思うようになりました。というより、自分はこの先もこういうテイストの文章しか書けないのだろうなと思います。

 

自分らしさに手を加えて色が変わるまで磨いて武器にするのもひとつの手かもしれませんが、結局のところ自分が自然体で生み出せるものが一番心地良いし、後々可愛がれるのだと思います。

まあ当たり前ではありますが。

 

人から指摘された「自分らしさ」を、自分自身が誰よりも愛せたら無敵だと思います。

あれ、こんな歌詞があった気がする。

 

そんな目に入れても痛くないような、愛すべき文章をたくさん書いていけたらいいなぁと思う今日この頃です。

 

かしこ

 

 

ご挨拶

 

峯岸利恵という人間よりまず先に文章と出会ってくださった方、どうもはじめまして。

どちらも知って下さっている方、やっほー。

 

元々ブログを開設しては本当に細々と文章を書いていたのですが、この度不測の事態(という名のただのパスワード忘れ)により投稿が出来ない状態になった関係で、新しくブログを開設した次第でございます。

 

折角なのでツイッターの140字では収まりきらない音楽的なあれやこれやを軽やかにふんわりと書き記していけたらいいんじゃないかなと思ったので、たまに覗いてもらえると嬉しいです。

 

お仕事のまとめは下記URLからご覧頂けますので、峯岸語彙ワールドにどっぷりと浸かりたいという稀有過ぎる方々、続きはウェブで。

こまめに都度更新しています。

 

http://rie-minegishi.tumblr.com

 

今後とも何卒宜しくお願い致します。

かしこ。