大阪寝屋川出身の3ピースバンド・Unblockが『明日の産声』というアルバムを出しました。発売日前日に購入し、馬鹿の一つ覚えの如く聴き狂っています。
「聴くたびに染みてくる」とか「スルメソング」とか、そんな曲は1曲もないです。
一発です。このアルバムは良い、このバンドは良いと、一発で分かります。
Unblockの魅力はそのメロディーの良さと彼ら自身が持つ不器用さだと思っているのですが、それをお話する前に”23”という曲をどうぞ。
この曲のどこが素晴らしいかって、一番最後。
≪いつか語った理想の前で 震える足で立ってる≫
という歌詞。ここです、Unblockといえばここ、もう絶対ここ。
人付き合いとか愛想笑いとかそういう類のことが下手な人たちなんだろうなぁと思うし、だからと言って唯我独尊を貫く確固たる意志の強さを持ち合わせている訳でもない。他人や雰囲気に流されるのはかっこ悪い、でも自分が流れを作るなんて実際のところ無理だしヒーローには向いてない。夢を語るのはこっ恥ずかしい。
それでも心のどこかで「自分は何かできる」と信じてる。そうじゃなきゃきっと音楽なんてやってない。
そんなバンドのプライドが、この一節だと思うんです。
と、わざわざ旧譜から一曲引っ張り出してきた訳ですが、そこからの今作収録のこれです。
田口くんの青ヒゲはとりあえず置いておいて。というかそれすら愛おしいわ。
≪本当の事を歌うなら 愛に溢れた世界だから≫
この言葉を歌えるバンドになったんですよ。自分自身を悲観して捻くれていた人が、愛という言葉を紡いだ。もう、本当に嬉しかった。親かよっていう心境でひたすら嬉しかった、ああこれが成長かって思いました。
全曲に漏れなく仕組まれている「グッ」とくるフレーズの強さや量もまた格段に上がっていますし、第一印象から好きで好きで仕方がない”回想録”に至ってはド頭からの最良メロサビでビリッビリに痺れましたし、同様に‘‘ハイライト”もそう。”生活のこと”のサビ入りなんて毎回鳥肌立つしなぁ。
さらに今作最大の挑戦というか変化を詰め込んだ”行進曲”。これが本っっ当に素晴らしいし、素敵!!!!Unblockからこの趣旨のバラードが飛び出すなんて正直思っていなかったです。
この曲を筆頭に、「僕と君」を歌った曲では未来が見える曲が多くなっているなぁと思います。『明日の産声』なんて未来を見据えたタイトルをつけているのだから当然といえば当然なのですが、きちんと進もうとしているんだなと思いました。ラストに持ってきた‘'答えは風の中”なんて、その意思表明そのものでしょう。
ステージに立つ彼らの足は、もう震えてない。代わりに今まで以上に聴く人の心を震わすバンドになりました。
夢を語ることは恥ずかしい、結果に出なきゃ意味がない―――そう思っている人にこそ聴いてほしい、知ってほしいバンドです。
前に、前に。